ボディワークは一般的に、非常に繊細で理論が明解です。
とても重要な学びを得られると思います。
一方で、その学びから解放される必要があると
私は思うんです。
ボディワークが目指すものは、基本、
自然に身体を使うことです。
けれど、
自然な身体の使い方をするというのは、
なかなか、自然には出来ませんね（笑）
例えば、アレクサンダーテクニークでは
その実現のために、
頭の脊椎の関係を大事にするようです。
とはいえ…
アレクサンダーテクニークの教師になる勉強をしている方、
「つい忘れてしまう」
と。
何かをしている時に、
余計なことをしないために、
頭と脊椎の関係に注意を向けることを忘れ、
何か余計なことをして不自然になってしまうんですね。
ところが、この方、
歌といいますか、
節をつけて発声していますと、
アレクサンダーテクニークの先生から、
「あなたは、歌っているときは
自然に、理想の状態になっている。」
「気がついていますか？」
と言われたそうなんです。
この方は
もともと、全く声を出せなかったんです。
（もちろん、歌をされる人でもありません。）
それが、
ワークショップ『声（音）を身体に響かせる』
に何度か参加するうちに、
気持ちよく声がでるようになり、
自分流に好きに節をつけて声を出すようになったんですね。
（とても素敵です。その道の人かと思うほどです。）
この方は、歌っているとき、
このボディワークを気にしていない。
ただ、自分の声を出しているだけです。
だから、「つい忘れてしまう」こともなく、
本人も気がつかないうちに、
このボディワークでいうところの理想的な状態でいられるわけです。
つまり、余計なことをしないようにと自然な状態を目指すと
「つい忘れて」不自然になってしまうけれど、
ただ、自分の声を出してるときは、
余計なことをしないでいられる。
なぜか？
これは、前回のお話とも通じますね。
頭の中で言葉が渦巻いてしまうかどうか？
です。
言葉が外れたとき、
余計なことをしないとか、
理想的な自然な状態とか、
そういったものを、直接目指さなくなります。
言い方によっては、
体の感覚への意識が外れる。
ということ。
（認知は残っています。）
「やるべきことをやる」
やるべきことをやれば、
結果として、
余計なことはしませんし、
理想的な自然な状態になります。
一見、似ていますが、
かなり違います。
もちろん、この方にとっては
アレクサンダーテクニークの学びは大切なもので、
それがあるからこそともいえる。
そこで、最初のお話に戻るわけです。
学びつつ、そこからの解放を目指す。
学びの言葉を外して、
解放する。
