人はだれもが、
物語なくしては、生きていけない。
私はそう思っています。
ところで、舞台表現ですが、
演劇は小説
ダンスは音楽
大枠では、そんなところだと思います。
では、アートマイムは何かといいますと、
アートマイムは詩
といえるでしょう。
小説は物語そのもの。
詩も、物語のようなもの。
音楽は…
大抵は、
様々な感情や情景を呼び起こすように
作られていますよね。
それは、物語があるということ。
歌詞があるものは、
やはり物語。
そういった物語を一切なくそうとしたものが、
現代なんとか、コンテンポラリーなんとか
といった形で、出てきましたが、
知的な刺激に終始しますと、
やはり物語が欲しくなってきてしまうのだと思います。
あるいは、奇抜な動きを見せるものであっても、
（サーカスやアニメーションダンスなど）
奇抜さだけでは飽きられるため、
物語の要素が取り入れられます。
ですから、
ダンス（舞踏も含め）も
ところどころで、
物語を感じさせる具体的な意味を持った動きを
することがあります。
私から見ますと、
パントマイムです。
身体での演技ですから。
昨年末の「紅白歌合戦」で
米津玄師のバック？で
世界的ダンサー小春が踊って話題になりましたが、
その踊りの中で
“苦しむ”を表現をしていて、
私は、物凄く驚いたんです。
小春というダンサーは、
私の知る限りでは、
そのような人間的な感情を表現をする
ダンサーではないからです。
一般的には、小春の“苦しむ”の表現を
ダンスの一部（振付）として見るのだと
思うのですけど、
私には、やはりパントマイムです。
もちろん、一般的なパントマイムではありません。
アートマイムです。
アートマイムでは感情表現は
非常に重要な要素です。
リアリティのある感情表現です。
それも、ただリアリティがあるというのではなく、
絵になる形・動きである必要があります。
分かりやすく言えば、
動いているような感じです。
つまり、
人の心の動きを、
振付と思わせずに、
美しく強く表現するのが
アートマイムなのですね。
いわゆるダンスだけでなく、
舞踏でも、フィギュアスケートでも
人の心の動きを表現しますよね。
けれど、下手をすると
振付を強く感じさせてしまい、
心の動きには見えないことが多々あります。
あるいは、気持ちばかり強くて、
動きに昇華出来ていないことも多い。
（お芝居でも同じことが言えます。）
やはりここは
餅は餅屋。
心の動きと振付の繊細な関係に目を向けるなら
学ぶなら、
アートマイムは強力な力を発揮すると思うのです。
気持ちを込めて動くのではなく、
正しいエネルギーの流れが肝です。
強い気持ちも、エネルギーの一部ですが、
あくまで一部です。
一部だけが強ければ、
全体のバランスが崩れます。
アートマイムを学ぶとは、
自分の心の動きを
いかに他者に理解してもらうのでなく、
その人の心の動きであるかのようにできるか？
なのです。
天才でなければ、
感性だけでやっていては、
たどり着くことの出来ない境地です。
