言葉は自分の内にある
感情は自分の外にある
言葉は解釈だけが存在していて、
自分から外れたどこかに意味があるわけではないんですよね。
一方、
感情は思考が絡むため、ややこしいのですけど、
エネルギーとしての純粋な感情は、
自分の外にあるので、
例えば、悲しみの理由は分からなくても
悲しさが伝染し得るわけです。
けれど、今は言葉の方のお話。
言葉が自分の外にあると思っていると、
誰かの言葉を、自分の解釈で理解しているにも関わらず、
その人の言葉として理解していると思ってしまうんですよね。
例えば、私は「エネルギー」という言葉をよく使います。
身体の使い方を良くしようという中で、
最も重要な言葉なんです。
ところが、エネルギーという言葉自体は、
ありふれた言葉ですよね？
そうしますと、私の言う「エネルギー」が
必ずしも、受け取り手の理解するエネルギーではない。
という可能性があるわけです。
もしここで、その人が自分なりの解釈のままですと、
私の言う「エネルギー」を誤解していることになりますから、
私から身体の使い方を学ぶ上では
大きな障害になってしまいます。
いつも、「なにか違うな」と思うようになるか、
本人は出来ていると思っていても、中身が違っていたり、
といったことになってしまうわけですね。
では何が大事か？ と言いますと、
このごくありふれたエネルギーという言葉を、
私がどういう意味で使っているのかを、
探ることなんです。
ならば、もっと分かりやすい言葉を使えばいいのでは？
と思われますか？
けれど、これ以上はほぼ無理なんです。
そもそも、味わったことなのない感覚を言っているわけですから、
その感覚を味わったり、体得する以外に
分かりようがないんです。
つまり、「エネルギー」ではなく
「るめんぶる」でも「ぬぅあ」でもいいんです。
さらに言うならば、これを味わう、体得するための身体の使い方ですら
「すぃわらとと、ぷうぉぉ」を意識するようにと促してもいいんです。
私が動いているところ見ていたら、分かるようになるかもしれません。
言葉を絶対視してしまいますと、
そこから先に進めません。
他人の言う言葉を、自分の解釈の方に当てはめるのではないんです。
その言葉が何を意味しているのかを、探るしかないんです。
ちなみに、このアートマイムに欠かせない「エネルギー」という言葉の使い方で、
私は師匠の師匠であるステファン氏と、少し揉めたことがあります。
ステファン氏は私の言うことは間違っていると思っていたわけですけれど、
私は、どちらの言うことも間違っていないと思っているんです。
嘘も方便ではないですけれど、言葉は方便です。
あるべき方向へと導けるかどうか？です。
さて、指導者としましては、より良い方便としての言葉を見つける必要があります。
自分の内にある言葉を、一方的に押しつけないように。
同時に、受け手はいつでも、どんなに分かりやすい言葉であっても、
自分の解釈にとどまらないよう、真意を見つけ出す必要があります。
答えは言葉の中にはないのです。
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