前回、声帯(音程)のコントロール力が上がったのは
解剖学的な理解が進んだからというお話をしました。
同時に、体感がないと使えないといったことも。
けれど、そういったこととは、また別の意味で、
解剖学的なことをどれだけ熟知しても、
動きが良くならないことがあるんです。
それは、例えば、力の加え方。
先日の「月刊秘伝 特別セミナー」でも、皆さんに体験していただいたのですが、
胸の前で両手を押し付け合う、その力の出した方で、
普通にしてもらった時と、遠吠えをしながらの時とで、
全く違ったものになるんですね。
強くなります。
遠吠え!? みんなで??
・・・というところは、一旦置いておいて下さい。(笑)
この力の出し方、もちろん、それぞれのやり方を
解剖学的に見て、どこそこの筋肉がいつどうなって、
といったことは分かりますよね。
けれど、それはあくまで結果を分析しているに過ぎませんでしょ?
遠吠えをしながらのような、
一見同じような力の発揮の仕方で、
けれど実は全く方法といった
全く違う動き方を発見できるか?
ということなんです。
つまり、発想ですね。
基本、良い動きとは、
局所的な負担をかけた動きではなく、
多くの部位が少しずつ協力しながら連動して動く、
そういった複雑なものなんですね。
冒頭の発声に関しましても、
声帯のコントロールだけで上手くいくわけではなく、
私の場合、あくまで咽頭筋など共鳴腔のコントロール力がしっかり訓練されていたので、
声帯のための筋肉と、共鳴腔のための筋肉、そして息を吐くための筋肉、
それらを(自分なりに)明確に分けて使えるようになったということなんです。
(もちろん、まだまだ訓練中です。)
で、また発想のお話に戻りますけれど、
私が話題に取り上げる
和の身体/西洋の身体や、落下する身体/跳ねる身体
といったものも、
結局は発想。
こういった発想のために、解剖学的な知識は役に立ちます。
けれど、何らかの体感が前提。
その体感を確認する意味で、解剖学を利用して、
(それでも、複雑な体感の世界を、全て解剖学で理解出来るわけではありませんが)
そこから、新たな発想につなげていく。
体感と解剖学、そして発想。
上手く回していけるといいなと思います。
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次回アートマイム公演 3月27日