「これは想像を超えた感覚で、何らかの方法で思考と感覚の繋がりを打開できないと、簡単にはたどり着けないと思いました。」
という内容のメールをもらいました。
あまりに、重要なことが書かれていたので、メール主の許可を得て、抜粋してお伝えしますね。
メール主をAさんとしておきましょう。
Aさん、アートマイムを専門にやっていますけど、バレエの先生でもある人。
ここ数年、私のクラスを週に数回受講して身体づくり、表現力磨きをしています。
Aさん、最初の頃は、かなり苦労していました。
私が習得して欲しいと思う身体から、ある部分で非常に遠いところにいまして、
クラスで取り上げる動きに、大きな戸惑いを覚えることが多かったんです。
それが・・・
メールの内容です。
「座骨への意識が、いろいろと良く働いてくれます。」
「これ、随分前からJIDAIさんのレッスンで指摘されていたはずなんですが、今頃良い効果をもたらしています。」
「お腹を膨らますということは、縮む力もあるはずだと思い、骨盤を塊のように捉え、縮めようとしていましたが、
背中を反らして骨盤も反った位置なのに、座骨を集めて前の方にするという感覚が、
頭の中でブロックされていたと、後から分かりました!」
「お腹の中がゴムのように強く感じられ、とても安定します。」
「この良い感覚は、色んな動きに万能で、」
「バレエで言えばアラベスクは、バランスが(楽に)取れたり、」
「フェッテ(片足で連続回転)ができそう!と思い、思わず試したら、
とてもやりやすくてビックリ」
「パンチでも、思考と感覚、更に頭で描くエネルギーの方向にとらわれ過ぎていて、
出来ていなかったことが分かりました。」
「パンチは、肩や腕は力を抜いて腹で受ける、と頭ではわかっていても、
手先からお腹は曲がっているので、到達するイメージが湧きにくく、
出来てはじめて、これだ!と感じました。」
「(良い感覚を得られたことで)思うのは、見た目の身体の形に惑わされず、動けると良いということ。」
「(この良い感覚は)想像を超えた感覚で、何らかの方法で思考と感覚の繋がりを打開できないと簡単にはたどり着けないと思いました。」
「今ある感覚や考え方、動かし方など、もっと頭を柔軟に、
想像を超えた想像力が必要かもしれないと思うようになりました。」
ということなんです。
Aさん、他にも
「内旋の中での外旋、あるいはその逆、浮くから踏める、など、セットで捉える必要があると思いました。」
といったことなど、ある頃から動きの質に大きな変換が起きてきたことで、考え方といいますか、動きの捉え方が変わってきてるんですね。
これ、
動きの質が変わるのが先か? 考え方が変わるのが先か?
なかなか難しいところではありますけれど、明確に考え方が変わるのは、動きが変わった後だと思うんです。
では、なぜ動きが変わるのか?
やはり、それは上手くいかない、これだ!という手応えを得られない動きに対する試行錯誤、微調整の繰り返し。
で、ここでは、本人自身のアイデアによるものはもちろん、
私がレッスンで、同じ感覚を導き出すためであっても、同じ言い方・やり方ではなく、常に色々なやり方・たどり着ける道を提示していること、
その両方が力になっていると思います。
考え方がそれほど変わらずとも、自分の考え方を絶対視はしないで、
出来るはずだ、出来るようになれば(今は、言われる動きでは動きづらくても)動きの自由度が高まるはず、表現力も間違いなく上がるはずだと、
自分のアイデアと私からの提案を元にした試行錯誤。
Aさんの取り組みには、頭が下がります。
Aさん、「思考と感覚の繋がりを打開できないと」と言っていますけど、これはこういった試行錯誤によるエネルギーが凝縮していき爆発するみたいなことだと思うんですね。
良いアイデアは風呂場・トイレ・散歩中に生まれるって、聞いたことありますでしょ?
これ、場所の問題はともかく、エネルギーが凝縮していることが前提ですよね。
「思考と感覚の繋がりの打開」は、思考では不可能。感覚頼りでも不可能。
なにしろ、Aさんも言っているように「想像を超えた感覚」なわけですから。
試行錯誤あるのみ。そこまで試行錯誤し続ける。
そう思います。
(そもそも、私自身がそうやってたどり着いています。天賦の才ではやっていませんので。)
Aさんの突破は本当におめでと~!!という感じです。
Aさんのこれからが、ますます楽しみです。