ここのところ、身体の進化・深化が加速していまして、楽しくて仕方ないのですけど、そこには大切な二人の人の存在がありまして、今回はそのお話。
ひとりは前回の記事のバレエの先生、優子さんです。
直接習ったことはないのですが、ツイッター(現X)や記事で勉強させてもらっています。
元々の縁は、優子さんが2016年から何度か私の個人レッスンを受けてくれたことがきっかけでして、優子さんは非常に研究熱心で、私を見つけてくれたようなんです。
(私が雑誌「秘伝」で記事を書き始めたのは2018年で、書籍化は2019年ですから、よくぞ見つけて下さったという感じです。)
私が昨年末にバレエ公演「くるみ割り人形」にドロッセルマイヤー役で出演したのは、優子さん主催・演出で声をかけてもらったからなんです。
さて、優子さんは生まれながらにバレエ向きの身体をしていたようで、それがために日本でバレエ指導を受けていると、いろいろな無理が生じてしまい踊りづらくなっていたと。ところがアメリカのバレエ団に入ると、日本のバレエ界では常識のようになっている指導・指摘がなかった。
そこで、自分の身体は本来のバレエに即した身体であることを確信したわけです。
けれど、日本のバレエ界は全くバレエ向きではない日本人の身体を前提とした指導になっている。しかも、その指導がバレエ向けの身体を作るものではなく、形ばかりを似せようとして、動きづらく、ケガを招きやすく、表現になりづらいものである。で、本来のバレエの身体、表現を育てていこうと指導に力を入れている人なんです。
そもそも、私が「和の身体・西洋の身体」と言い出したのは、優子さんとの出会いがあったから。
3回目くらいのレッスンで、私の提案した方法が「それだとコンテンポラリーの身体の使い方になってしまう」と言われたことがきっかけで、バレエの身体について考えるようになったんです。
(その頃は、和の身体をベースにエネルギーの通る身体づくりをしていたので。)
で、この優子さんの発信内容、ほとんどが身体づくりに関するものですが、難しい!(笑)
難しいのですけど、私自身の身体の開発と照らし合わせながら、そして優さんの言葉を参考・ヒントに修正をかけてみたりするとで、優子さんの言うバレエの身体を自分なりに理解出来るようになってきたんです。
そして、バレエを学んでいる人への定期個人レッスンを通じて、私の理解と指導は間違っていないだろうと思えるようになっているわけです。
以前の記事の反張膝のお話、あの方法の発見に至ったのは、まさにこの結果なんです。
(この記事を優子さんがSNSで紹介してくれたので、びっくりしましたけど、嬉しかったわ~。)
優子さんのレッスン、バレエを本当に身につけたい方や西洋的なものをされている方は、ぜひ!と思います。
大切な人、もうひとりは、前回のマイム公演で共演をしたソプラノ歌手の美樹子さん。
実は、今年の夏から6回で計18時間ほどの発声の個人レッスンを受けたんです。
そのことで、横隔膜と声帯の関係を主軸に、身体の内側を深く探求・開発することができ、声の変化はもちろん、優子さんからの学びと相まって、身体の進化・深化が加速しているわけです。
美樹子さんとの出会いは、3年くらい前の私のマイム公演に友人と観に来てくれたのが最初で、その後、美樹子さんのリサイタルを聴きに私が出向き、そこから気がついたら今年の10月に共演していたという感じなんです。
その共演を決めた後、しばらくして声のレッスンを受け始めた(8月)のですけど、これまでずっと発声の研究はしていまして、けれど、これ以上は本格的な人から学ばないと進めそうもないなと感じていたことと、私のSNSでの発信内容を見て、美樹子さんが声のレッスンを受けませんか?と声をかけてきてくれたことがきっかけで、受講を決めたんです。
いわゆるボイストレーニングではないと思います。
美樹子さんは声楽を学んだ留学先で、外国人との体格の差を埋める発声技術を自ら開発する必要性を感じ、様々な体験・研究を通して、自らのメソッドを創り上げたんですね。
そのメソッドは、現役のプロ声楽家が自分の発声に問題を抱えた先に、教えを乞いにやってくるようなもの。
どれだけ声帯に無理をかけず、全身のエネルギーを満遍なく巡らせて声に変換できるか?
といった内容です。
バレエの優子さんは、元々バレエ向きの日本人離れした身体だったところを、一般的なバレエ向きではない日本人の身体の特性を研究し、どうしたらバレエ向きなるのかを理論的に創り上げていまして、美樹子さんはそれとは逆の流れですね。
私自身も元々運動神経も良いわけではなく、演技・表現力もなかったところから始まっていまして、美樹子さんと同じ流れなので、いろいろと共感できるポイントは多いのです。
とはいえ、自分が身についてしまいますと、優子さんのように一般の人がなぜ上手くいかないのかを研究・理解して、どういうアプローチをしたら良いのか?を考えるようになりますから、優子さんとの共感ポイントも多いと思います。
さて、声のレッスンを受けて、私が最も変化したのは横隔膜辺りの使い方でして、自分ではそれなりに使えていると思っていたのですが、全くまだまだでしたね。
発声について、これ以上は本格的な人から学ばないと進めそうもない状態だった主な原因は、横隔膜の辺りにあったという感じです。
美樹子さんのレッスンは、発声そのものだけではなく、発声ワークを通じてその人のエネルギーを表に出すことにもなりますから、どなたもぜひ!です。
ということなんですが、美樹子さんからの発声レッスンで得られたものと、優子さんのバレエの身体に関する記事、そして元々の私の考え方を融合させていく中で、次から次へと新しいアイデアが生まれ、今はある理論に行き着いています。その理論は普段のクラスの中で、それとなく取り入れて効果を実感しているところです。
この理論は、これまでの「すきま」や「張力」を補完・増強するものでして、クラス生の変化もかつてない劇的なものがあります。
今後、とんでもないことになりますね。