今回まず最初にお伝えしたいこと、それは、
息を吐くのは、非常に高度な技術を要する!
握るという行為は、非常に高度な技術を要する!
です。
ところが・・・ここが大きな問題を引き起こす要因なのですけど、
息を吐くのは、簡単。息を吸った後、力を抜けば吐けます。
握るのも、簡単。強さは関係なく、お箸でもカバンでもスマホでも、毎日何かを持つ・掴む行為はしています。
足指で握るのも、簡単。難しそうに思えるかもしれませんけれど、立ったり歩いたりしていれば、強さは関係なく、いくらかでも握る力は働いているんです。
息を吐くのも、握るのも、どちらも縮まる動きですよね?だから簡単なんです。
前回のお話を読んで下さった方にはお分かりいただけると思います。求心性の力を能動的に働かせるわけですから、簡単なんですけれど、だからこそ問題。大問題ということ。
エネルギーは外に流すことが重要です。
外に流すことで、自然と内に入ってくる。そして自分を通過してまた外へ、です。
それで、息に関しては吐くことが大事と言われてしまい、そうか!と思ってしまうわけですけど、息を吐くこととエネルギーを外に流すこととは関係ないんです。
もし、イコールですと、エネルギーの流れは呼吸とともに、吐くときは外に流れるけれど、吸うときは内に向かう、あるいは止まるとなってしまいますでしょ?
エネルギーは息を吸っていようと吐いていようと、流れるんです。
(エネルギーが流れている時の呼吸は、吸っているのか吐いているのか分からない感じなんです。)
エネルギーを外に流すのではなく、自分に向かわせてしまうとどうなるか?
出るところがないわけですから、パンパンに詰まって爆発しそうではありませんか?
この詰まりが手応えですね。そして爆発はケガ。
ところで、野球でもテニスでも、打つ瞬間は息が一瞬止まっています。インパクトの瞬間は身体がパンパンに張っていたいわけです。
打ち始めるとき、息を僅かに吐き始め、インパクトの瞬間は止まり、直後は、堰き止められた吐き始めていた息を、一気に押し出すために、大声を出したりする。
試しに、打ち始める時に大声を出し始めてみると分かるかと思いますけれど、インパクトの瞬間に力は弱くなるんです。気合いが強いだけですね。
あるいは、こういった瞬間的にパワーを出すものではない場合でも、息を簡単に吐いてしまってはいけませんね。パワーを出している間ずっと継続的に“細く”吐き続ける必要があります。
(音楽系ですと、息の支えと考えていただくと良いかと。)
つまり、基本、吸えている状態があって、初めて吐く力を利用することが可能となり、その吐き方も実は簡単ではなく、非常に高度な技術を要するということなんです。
これは、握るという行為でも同じことでして、クラスでもごくたまに取り上げるのですが、自分の前腕・手首の辺りを握り締めてもらう際、普通の握り方ですと、ただ痛いんですね。それがあることを意識して握りますと、大蛇に絞められているような、痛みという不快感は無いのに奥深くまで締め付けられるという状態になるんです。また、使う労力も、普通の握り方よりも、後者の方が少ないんです。楽ということです。
(拙著『動きの天才になる』『運動センスを一瞬で上げる』、DVD『動きの天才になる』で取り上げている「スヌーピーの手」の握りは、この握り方の感覚を少し味わえます。)
ということでして、息を吐くのも、握るのも、非常に高度な技術を要するんです。その技術とは、吸うという行為に秘密があり、開くという行為に秘密があるんです。
つまり、吸えなくては始まらない。開けなくては始まらない。ということなんです。
もちろん、センスの良い人は、無意識に自然に、これらを使えている。あまりに当たり前なので、言葉として出てこないだけなんです。
多くの人に必要なのは、吸うこと、開くこと。
吐くな!吸え!
握るな!開け!
というのが、私のオススメ。
アートマイム新作2本。
次回公演は12月13日(金) 大型企画です!!