私自身のことではなく、ひとの姿を見て、改めて感じたのですけれど、身体を十分にほぐし、弛め、リラックスさせ、身体に流れるエネルギーを全身くまなく感じるようにしておきますと、やはり感覚が良くなるんですね。
良くなるなんてものではないくらいでした。
水曜の夜に隔週で行なっています、「真呼吸クラス」でのことなんですけれど、このクラスでは、最後の少しの時間、感情表現をするんですね。
『エモーショナル・ボディーワーク』です。
いつもですと、感情を出すだけなんですけれど、前回はちょっと演技もプラスしてみたんです。
「赤ちゃんを抱きかかえる」
ということをしてみました。
ここで重要なことは、いわゆるマイムっぽいテクニックではなく、赤ちゃんに対する気持ち、赤ちゃんの持つ空気が、伝わってくるかどうかなんですね。
気を付けないといけないことがありまして、ほんとの赤ちゃんを抱くという行為とは、ちょっと違うということ。
ほんとの赤ちゃんを抱くときよりも、ずっとずっと遥かに繊細な気持ちが表れてくる必要があるんです。
おそらく、かつて自分が経験したことのないような、優しい気持ち、慈しみの気持ち、愛おしむ気持ち、よろこびの気持ち・・・これらが自分の中から、決して単なる思い込みではなく、全身から溢れてこないといけません。
他人から見て分かるように、顕われてれてこないといけません。
そして、何より、赤ちゃんの放つ、ふんわりとした空気、やわらかな光、壊れそうな繊細さ・・・
こういったものを、感じ取っていることが大事になってくるんです。
感じ取るとは、やはり思い込むのではなく、身体が受け取ること。身体が受け取っていることを、感じること。
なんだか、とっても抽象的で難しそうですよね?
しかも、赤ちゃん抱いたことないし・・・って。
ところが、ところが・・・なんですね・・最初に言いましたように、身体をきちんと作り、さらに、呼吸と空間の関係の意識の仕方(これが、エモーショナル・ボディーワークの要になるんです)を経験しておきますと・・・
「赤ちゃんを抱きかかえる」という演技に、ほんとに、見事なまでに空気が顕われてくるんです。
見ているこちらまで、優しい暖かい気持ちになります。まるで天使を抱き起こすように見えます。
男性が演技しましても同じです。男性か女性かというのは、全く問題になりません。
赤ちゃんと身近に接しているかどうかも、全く関係ありません。
ほんとに優しい人かどうかも関係ありません。
驚くべきは、自分がかつて経験したことのないような、先ほど申し上げたような気持ちを経験していることに、自分自身で驚いていてしまう、ということなんです。
自分がマリア様なのではないか?と本気で錯覚できるくらいに、普段の自分とは全く異なる、自分の内面に驚けるんです。
ある程度の時間をかけて身体を作り、呼吸と空間の関係を作ることで、心と体が一致し、いわゆるテクニックの動き、動きの為の動きではなく、内面だけが見えてくる動きになるんですね。
この日はあいにく、たった2人の受講者でしたけれど、そのふたりにとっても私にとりましても、貴重な経験でした。