オーガニック・アートマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

肉体と感情

パントマイムと呼ぶべきか、否か・・・う~~~ん。。。

ポーリッシュマイムってどんなマイムなの?
っていうことで、これまでもことあるごとに、その特徴みたいなものを、お話してまいりましたけれど、
一般的なパントマイムというものをベースに、想像してしまいますと、
かなりかけ離れてしまいまうんですよね・・・

やはり世間的には、
パントマイム=特殊な技術

それも、目に見える特殊な技術。

「かべ」「ロープ」に始まり、
「ロボット」「マイムウォーク」「動かないカバンや風船」「スローモーション」・・・などなど

決してこれらの技術を否定するものではありませんけれど、

これらの技術を使って演技することが、
イコールパントマイムというものではない~っ!


と思ってしまうのですよね。

と言って、
セリフのない演技がイコールパントマイム・・・とも思っていませんで・・・

・ ・・では何がパントマイム?
ってなりますよね。

そうなんです。パントマイムって何?
というところは、非常に大切な大きな問題だと、私は思っております。
おりますけれど、あまりに大きな問題なので、
ポーリッシュマイムについてだけのお話にさせて下さいませ。

ポーリッシュマイムでは、
いわゆるマイムの技術と演技が一体化しているんです。

一般的にマイムの技術は肉体が生み出し、演技は心が生み出す
と思われるでしょうけれど、
ポーリッシュマイムでは、どちらも出所は同じなんです。

ちょっと試しにやってみていただきたいのですが、

両手でロープを握り、重いものを引っ張っているその形、もちろんぎゅぅっと力も込めて下さいね。
そのまま、手の平だけをそぉっと、向こう側に向けてみて下さい。(手の甲が自分に向くように)


どうです?何か感じます?

よほど変なことになっていない限り、

「いや!こっちに来ないで!」

みたいな感じになっていると思うんです。
(もちろん厳密には違いますよ。)

もし、うまく出来ないようでしたら、
逆に

「いや!こっちに来ないで!」の形から、
ただ手先だけをそぉっと、ロープを握っているような形にしてみて下さい。


重いものを引っ張ているような感じがしませんか?

・ ・・これでもだめでしたら、はぁ、、、ごめんなさい。。。です。

で、これは形が似ているということではなく、
エネルギーが似ているからなんです。

どちらも息を大きく吸い込むような、自分の体の中に向かうエネルギーがまずメインにありまして、
同時に手の向こう側に、そのエネルギーを生み出させる原因(重いもの/嫌なもの)がある


ということなんです。

ですから、物凄~ぉく重いものを引っ張ることが出来ますと、
物凄~ぉく嫌~~~ぁっ!って感じも出せるようになるわけです。

逆に言いますと、
重いものが引っ張れませんと、嫌なものも、そんなに嫌な感じが出せないということです。

(で、一般的には、嫌な感じを無理に出そうとして、表情に頼るわけです。)

ポーリッシュマイムではあくまで、
肉体が感情を表現するのでありまして、顔(表情)はその肉体の一部に過ぎないのです。

ポーリッシュマイムでのこの肉体と感情の一致は、
「いかにも」という表現ではなく、「本当に感じている」表現を可能にさせてくれますから、
動きの大きさとは関係なく、一見小さな繊細な表現にも大きなエネルギーを持たせられるのです。

こうして、ポーリッシュマイムでは最初から最後まで、一切の動きをコントロールしていくわけで、
心だけで行なう演技とはかなり異なる演技をしていくんです。

まぁ、もちろんどのくらい習得しているかによりますから、
さり気なく大きな演技が出来るかどうかは、その人次第です。

ポーリッシュマイムを習えばすぐに、なんでも出来るわけではありませんけれど、試しにやっていただいた
「いや~!」
は、楽しくありませんでしたか?

一般的なパントマイムのイメージとは、ずいぶん違うポーリッシュマイム。
このマイムが持つ潜在力は、相当だと思うんですけど、多少は伝わりましたでしょうか?