パントマイムといいますと、一般的には特殊な動きをするもの、というイメージがあると思うんですけど、どうでしょう?
大抵は、本人のアクの強いキャラクターと特殊な動きで、観客を魅了しているように感じますね。
うまくマッチしていますと、とても魅力的になります。
それに対しまして、ポーリッシュマイム(JIDAIマイム)は一般性を目指すといいましょうか、
本人のキャラクター云々よりも、まずは人間という存在としての演技を目指すんです。
今どきのダンスや音楽に対しまして、バレエやクラシックを習う感じと思っていただくと分かりやすいと思います。
演技だけでなく動きも同じでありまして、決して特殊な動きをしようとするものではありません。
人間本来の動きを目指しているんですね。
(結果として特殊な動きも出来るようになる感じなんですけど、、そのあたりのことは、今回は置いておきましょう。)
きょうは、そんな一般性のことのお話なんですけれど・・・
きのうは、ここでも宣伝させていただきました『劇団ぷにぷにパイレーツ』の公演がありました。
ここでの宣伝を見て、観に来て下さった方々、ありがとうございま~す!
その作・演出・出演の石崎一気君が、いつもにも増してパントマイムをかなり取り込んでいましたね。
ほぼ喋りまくりの中に、無言のシーンを長く入れてパントマイムをがんばっていました。
さて、このパントマイムシーン、一般のお客さんはどのように見ていたのでしょうね?
私が思いますに、
おそらくほとんど気にならなかった、あるいは記憶に残っていない、
のではないかな?と。
直接、「パントマイムのシーンどうでした?」と聞いたとしましても、
「ああ、、そういえばやっていましたかねぇぇ。。」くらいではないかと思うんです。
これは決して悪い意味ではありません。
むしろ良い意味。
きっと、見ている時には丁寧にやっているなという印象はあったと思うんです。
いわゆるお芝居の人が無言のお芝居でモノを扱うようなことをしますと、どこか雑な印象を与えてしまうものでして、
それは役柄の心にばかり気が向いているせいだと思うんです。
例えば、極端な例を出しますと、実際には何も持たずに(パントマイムですね)、熱い飲み物を口にし、思わず「熱っっ!!!」ってやってみたとしましょう。
どうぞ、あなたもその場でやってみて下さいねっ。
どうでしょう?
ほぼ100パーセントの人が、「熱っっ!!!」にとらわれるあまり、まだ飲み物が入っているはずのコップ・・・どうなりましたか?
・・・そう、コップが無くなっているか、良くても中味をこぼしているか、といったところだと思うんですよ。
実際にこんなことがあったときには、ほぼ無意識にコップの中味がこぼれないようにしているものなんですけど、
パントマイムでやりますと、この無意識がそのまま本当に無意識(無動作)になってしまうんですよね。
で、この実際の動作の無意識さを、実は誰もが身体的には感じていますから、
舞台上のパントマイム演技で、その動作がありませんと、違和感を覚えることになるんです。
ですから、先の石崎君のパントマイムが全体の中で変に浮き立たなかったというのは、
こういった違和感を与えなかったということで、それは素晴らしいことなんですね。
本人は公演後に自分のパントマイムを卑下していましたけれど、確実に大切なことを身に付けていってくれていますから、私としましてはとても嬉しく、公演中は目を細めておりました。
ポーリッシュマイムをパントマイムの分野としてではなく、
一般性のある動き・演技として、どんどん使って下さいね!