生きているかのように死んでいる姿を目にしますと、言葉にできない何か深いところでの普段味わうことの無い心の揺れを感じます。
その揺れは表面的にはそんなに大きくない気がします。
けれど、底が無いかのような奥深いところでは、とても大きな、計り知れない程の大きさの揺れが生じているようで、
底無しの闇に吸い込まれて、心さえ消えてしまいそうな感じです。
口蹄疫で殺処分された何頭もの子豚の写真が新聞に掲載されていました。
以前にも子猫や子犬の同じような写真を目にしたことがあります。
傷ひとつなく、本当にただ穏やかに眠っているような姿でした。
まだみんな産まれてからそんなに経っていないということもあるのでしょう。
赤ちゃんや子どもといいますのは命の輝きが、ただただ純粋に光を放っている、生命としてはある意味とても力強く、一方で肉体的にはとても弱々しい。
強く握ったら簡単に壊れてしまいそうな、そんな弱々しい体でいながら、精一杯生きている姿だからこそ、命の光だけが現れてくるのかもしれません。
太陽の光がまぶしすぎて、まともに見ることが難しいように、そんな彼らの命の光は私たち大人にはまぶしすぎます。
そんな輝きをかつて放っていたということを、どこかで感じさせながらも、皆既日食のときの闇が、夜の闇とは違うように、音も光も無い暗闇になってしまった姿を前にしますと、涙すら消えてしまいます。
生き物が「物」になってしまった。。。
奪われた光を、見つかるはずの無い光を、探さざるを得ない気持ちにさせます。
そしてその気持ちが、底無しの闇に自ら入り込ませるのかもしれません。。。
我が子として子豚を育ててきた畜産農家の方々の気持ちはいかばかりか・・・
そして、この子豚たちの気持ちは・・・
外では雨が降っているようです。