パントマイム作品では日常的な動作がよく出てきますね。
日常的な動作は何も意識しませんと、
ジェスチャーになってしまうんです。
私にとりましては、作品の作りがパントマイムっぽいかどうかとは別問題として、
ジェスチャーではなくしたいなと思うんです。
演技がうまくてジェスチャーも上手・・・これはオーガニックマイム的ではないんですよね。
といって、身体がきれいに動くということや、動きにキレがあるということとも違うんです。
そういったことは、いわゆる身体能力でありまして、オーガニックマイムで考えるところの身体表現能力ではないんです。
きれいであること、キレがあること、ジェスチャーが上手であることよりも、そういったことが裏に隠れてくれることを期待していまして、ひと言でいいますと、
空気感。
目に見えるものを見せないようにしたいんですよね。
私自身まだまだではありますけれど・・・ふぅ~。。。
それでも、その空気感をつくるための身体の遣い方というのがありまして、それは
『より少なく、かつ、より豊かに』
だいぶ以前にもお話ししたことですね。
先のアンサンブル・マイム公演『GALA』ではショートコントもあったのですけど、例えばそういったシーンでの動きにおいてさえも、このことを考えて動きを決めていっていたんですよ。
私はこのようなショートコントは不慣れで、初めての経験と言ってもいいんですけれど、しっかりと笑って(楽しんで)いただく事が出来ましたのは、動きに「こだわり」を持って望んだおかげであろうと私は思っているんです。
ほとんどの観客の方は、そんな動きのことは全く意識にのぼっていないと思いますけれど、それこそが望んでいること。
オーガニックマイムにおきまして、動きは空気を作るための存在。
できるだけ、すっぽりと空気の陰に隠れますように。