柔軟性を上げるためにストレッチを行いますけれど、それはもしかすると柔軟性が上がったとはいえない状態になっているかもしれしれないんですよ!
多くの方が誤解していると思うんですけど、股関節や肩まわりの関節の可動域が広いからといって、喜んでばかりはいられないんです。
それは筋肉は固いまま、靭帯や腱がゆるんでしまっている状態の可能性があるということなんです。
筋肉といいますのは弾性要素しか持っていません。
弾性・・・つまり伸ばしても元の長さに戻る性質ですね。伸ばされっぱなしの状態ではいられないとも言えます。
それに対しまして、可塑性という外から力を加えられて変形された後、その力を取り去っても元の形に戻らず変形したままであるような性質を持っていますのが、靭帯や腱なんです。
ちなみに、靭帯は骨と骨をつなぐ強力なバンドで、腱といいますのは筋肉の延長にあって筋肉と骨をつなぐこれも強力なバンドのようなものですね。
靭帯でよく耳にする膝の「十字靭帯」、これは「前十字」と「後ろ十字」とありますけれど、太ももの大腿骨とスネの脛骨(けいこつ)をつないでいます。
腱ではアキレス腱がよく知られていますよね。これはふくらはぎの腓腹筋(ひふくきん)とひらめ筋とカカトの踵骨(しょうこつ)をつないでいます。
これら靭帯や腱は弾性要素も持っていますけれど、可塑性もありますから伸ばされますと、ある程度伸びたままの状態でいられるんです。
つまりストレッチといいますのは、実は筋肉を伸ばしているのではなく、靭帯や腱(や筋膜など)を伸ばしているということなんです。
ところでよくいいますでしょ?
足を捻挫すると癖になるって。
これは足首の靭帯が捻挫で伸びてしまったために、本来強力なバンドであるはずのものが緩くなって足首を固定する力が弱くなってしまったことによるんです。
ですから、こういった足首を触ると分りますけれど、可動範囲が「えっ!?」っていうくらい大きかったりするんです。
その状態を足首が柔らかいとは言わないですよね。
(こういった人が変に足首廻しなんてしますと、ますますゆるんでしまいますから気を付けて下さいね。)
股関節や肩まわりの関節でも同じですね。
体の固い人が筋肉が固いままの状態で無理にストレッチなんてしてしまいますと、ただ靭帯がゆるんだだけの状態になりかねません。
脚が開くようになったからといって、それは柔軟性のある良い身体とは言えませんで、喜んでばかりはいられないわけです。
靭帯がゆるんでしまっていますと、ケガをしやすかったり(先ほどの足首の捻挫癖のように)、力の伝達が悪くパワーが出づらくなったりしてしまいます。
何のためにストレッチをするのか?
充分な注意が必要そうですね。