どうして膝を痛めるのか？
それは、身体の重みを膝で受けてしまうから。
本来は、股関節で受けるもの。
膝は股関節と足関節（足首）の間にあって、
様々な方向に負荷がかかります。
ですから、
前十字靭帯と後十字靭帯で、大腿骨と脛骨の前後のズレを
起こさないようにしてあったり、
内側側副靭帯と外側側副靭帯で、大腿骨と脛骨の左右のズレや曲がりを
防いでいるんですね。
もちろん、大腿骨と脛骨の捻りも起こさないように。
で、どうしたら、ケガをしないか？痛まないか？
といいますと、
簡単に言ってしまえば、
靭帯に負担をかけないことです。
言い換えますと、
大腿骨と脛骨との間での、重み・力の受け渡しが、
きちんと骨を通っていること。
力のライン がズレていますと、靭帯が頑張らなくてはいけなくなる。
例えば、O脚。
これは、膝の内側に過度の負担（重み）がかかる形なんですね。
内側半月板がつぶれます。
同時に、力のラインが外側に逃げてしまっていますから、
外側側副靭帯が、これ以上逃がさないようにと、耐える形になってしまいます。
そんなこともあって、腸脛靭帯（太ももの外側）も硬く張ってしまう。
O脚でなくとも、
動きを伴う中で、
構造的に弱い膝で重みを受けるということは、
さらに複雑な要素が絡み合いますから、
大きな危険が伴うことは、想像に難くないですよね？
だからこそ、体幹と脚のつなぎ目であり、構造的に強い股関節で、
重みを受けることが重要なんです。
もちろん、そこにも力のラインがありまして、
多くの人はズレているために、
（このズレを正すことが、巷の「お尻を締めろ」の真の意味です。）
腰などに負担がきてしまうのですけど、
それでも、まずは膝ではなく、股関節です。
先日のワークショップ『重みを感じないで走れる！』に
参加下さった５０代の女性は、
２０代の頃に膝を痛め、
以来ずっと痛みとつき合っているとのことでした。
走りのワーク、大丈夫かな？とちょっと心配だったのですが、
とても快調とのことで、何度も行ったり来たりの走りをされていました。
そして翌日、膝はいつもと違うところに少し痛みを感じたものの、
普通に動けたとのこと。
と、同時に、股関節まわりに、しっかりとした筋肉痛が、と。
これは、これまで膝で受けていた重み（衝撃）を、
股関節で受けることができていたということです。
その前の回に参加下さった女性も、
やはり膝の痛みで走れないとのことでしたが、
同様に、何度も楽しそうに走り続けていらっしゃいました。
走るというのは、歩くときの数倍もの重み（衝撃）が生じます。
それも、一歩毎にですよ！
それを、股関節ではなく膝で受け続けていたら、どうなるか？
単純に股関節まわりの筋肉を鍛えても意味はありません。
あくまで、身体全体の使い方として、
膝ではなく、股関節で受けられるようにすることが重要になります。
例えば、このお二人の女性ですが、
意識的なコントロールが難しい、
走るときの膝・股関節の使い方が良かったということは、
今後の練習（経験）次第で、膝の痛みの心配は大幅に減っていくと思われます。
ちなみに、膝まわりを鍛えるために、よく奨められるスクワットですが、
危険度が高いので、
安易に手を出さないほうがいいですね。
非常に難易度の高い意識的動作が、要求されますから。
膝の痛みは、膝の問題ではなく、身体全体の使い方の問題です。
痛みがあるというのは、使い方を見直すチャンスです！
股関節を機能させませんか？
