オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

マイム作品の分りづらさを、分りやすくする!?

 ひと言でパントマイムといいましても、その作品スタイルは本当にいろいろです。

これが、かなりお客さんを戸惑わせることになっているんです。。。


例えば、絵を観に行って、そこに展示されているものが、古典的なものから、ポップアート、イラスト、マンガ、デザイン画などが、脈絡無く並んでいたらどうでしょう?


絵って何だ???


ってなりますよね?


それでも、絵でしたらまだ普段から自然に、いろいろなタイプのものに接していますから、いいんですけど、パントマイムですよ。。。




一般的なパントマイムのイメージは、非常に狭い範囲に限られています。

基本、コメディーであり、マイムテクニックです。


パントマイムでストーリーを演じるなんて、思ってもみなかったという人は大勢います。

テクニックらしいテクニックが出てこないパントマイムがあるなんて、夢にも思わない人は、さらに大勢います。

パントマイムが内面を深く表せるものだなんて、ほぼ誰も思っていないでしょう。

パントマイムがストーリーを超えたところで、詩的なものを表せるだなんて、あり得ないと思っているでしょう。




しかも、パントマイムはダンスとは違った身体能力が求められるのですが、

その身体能力すらたいして磨こうとしない人も、パントマイムとして舞台に立っていたりしているのがパントマイム界の現状です。

(お友達感覚や、面白ければいい!のであれば、それでいいとは思いますけれど、パントマイムかといわれると、???ではあります。

それでも演者、観客が楽しい時間を過ごせるのは、貴重だとも思います。)




で、先ほどの絵の例えですけれど、てんでバラバラな絵が、それも玉石混合であったら、もう本当に訳が分からなくなってしまいますでしょ?

それを横並びに一律な評価をするのは、どうかと思いますよね?


ところが、先ほどのお友達感覚のパントマイムの話ではありませんけれど、

パントマイムの場合はそのどうかと思うことが、当たり前に行われているんです。。。




しか~っし!しかしながらですよ! 
そんなことを嘆く前に、パントマイムは楽しませてくれるもの、普通に理解できるもの、という思いで観られてしまうことで、そういうタイプではないものが演じられた際に、
???になってしまわぬようにせねば!!ですよね。


少しでもその作品の見方が分れば、楽しめるかもしれませんしね。

そうでないと、そこで終ってしまいますものね。

それはお互いにもったいない。



ということで、終演後ではありますけれど、先日の試演会の作品紹介をさせていただきます!




 月出裕司 『ふんじゃった』


これは一目瞭然。ふんづけて死んでしまったネコを必死に隠そうとするその方法は、

出来そうで、でも現実にはあり得ない感じ。マイムならではの楽しさを味わってもらえます。

さて最後はどうなりますか。



 芦田達也 『たんぽぽ』  


空を飛んできたたんぽぽの綿毛(種)は、また花を咲かせ、綿毛を飛ばす。

余命短い青年が、綿毛を追った先に見たものは、辺り一面のたんぽぽ。

それは現実だったのか

幻だったのか・・・



 Bijuree 『我、楽シキコト多シ』


カッコイイのか?おかしいのか?ノリのいい音楽をバックに、何も無い空間を楽しんで遊んでいく彼の姿に、あぁ、人生って想像力だなぁって思ってしまったら、あなたも彼のお友達!?



 ロウミン 『押し入れ』 


押し入れの奥にしまってあった、彼が海から持ってきてくれた貝。
耳に当てると、その波の音が、時間を飛び越えさせてくれる。
今は1人になってしまったおばあちゃんだけど、遠い昔の思い出が、今ここに。


 
 小松星矢 『夢現(ゆめうつつ)』


砂漠で行き倒れになった男が、顔を上げると蝶が。

その蝶を追いかけていくと大きな湖に跳ねて泳ぐ美しい人魚。誘われるまま潜っていくと・・・
それは苦しさから逃れるための夢だったのか?それとも現実であったのか?



 石崎一気 『地下室』


がれきや遺体の散乱する地下室に、男がひとり取り残され、出口はどこにも見当たらない。

ようやく登った高窓の向こうに見える人影。
「助かる!」と思ったのも束の間、近づいてきたのは・・・

彼が落ちていく先は絶望であろうか?



 御菩薩池真鈴  『私たちの日常』


彼女に迫ってくるのは、なんなんだ??? 

現代人の抱える漠然とした不安感を、描き浮かび上がらせたモダンアート的作品。
なのに、笑える。だから、笑える。



 JIDAI 『自己愛(習作)』 


痛み、恍惚感、怖さなどの感覚を呼び起こすことで、自己愛を肉感的に訴えようとした作品。

気持ち悪いけれど、美しいのか? 美しいけれど、気持ち悪いのか?



 JIDAI 作・演出 『宇宙に生まれる宇宙』 


このアンサンブル作品は、お芝居のように順を追ったストーリーは無く、といってダンスのような抽象でもなく、基本的には全てが具体的です。 
それは、荒唐無稽で前後の辻褄はあっていないはずなのに、なぜかリアルに受け止められる、寝ている間に見る夢のようなもの、といったら良いでしょうか?
けれど、ただ脈絡が無いわけではなく、宇宙って、生って、こんな感じかもと思えるような、短編アニメーション的作品です。


 

ぜひ、一度観にいらして下さいね。




マイムから心と身体の平和を

オーガニックな(生きた)カラダに  http://jidai.mond.jp/