オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

“らせん”で動く “二重らせん”で動く

“らせん”は、私のマイムにとっては15年くらい前から大事なキーワードです。


数年前からは“二重らせん”がキーワードになってきました。


メビウスの輪”は“二重らせん”とかぶるところもあります。
(そうでないところもあります。)



メビウスの輪”はいったん置いておきまして、まず“らせん”ですけれど、
エネルギーを集約的に伝えていくには“らせん”の構造が効率的だと思うんです。


一番分りやすいのは「ねじ」や「ドリル」ですね。
釘のように真っすぐなものは、かなづちでないと刺さりませんけど、
ねじが切られているものは、手で回しながら差し込んでいけますでしょ?


拳銃の弾も回転を与えて飛ばしていますよね。“らせん”状に飛んでいるんですね。



自然界の生き物も、ずいぶんと“らせん”状に成長していくようです。


ツノやキバ、爪、植物の蔓、茎の周りを“らせん”状についている葉っぱ・・・などなど。


エネルギーを集約させやすいようにでしょうか、
これらはみんな、先端にいくほど細くなっていますね。


人間の体も腕や脚、先端にいくほど細くなっています。
力的には、弱いはずですね。
体幹に近い方が強いですよね。


ところが、走るにしても、投げるにしても、演奏するにしても、何にしても、
その先っぽの細くて弱いところに力を伝える必要がありますでしょ?



ひと昔前はどうも、それを克服するために、腕や脚、あるいは指先の筋力を鍛えようとすることが
当たり前のようでしたけれど、少しずつ変わってきていますね。


この先っぽの細くて弱いところで力を“発生させる”のではなく、そこに力を“伝える”ことが重要だということが分ってきたようです。



そこで、私が重要視していますのが、“らせん”です。
“らせん”によって、エネルギーを集約させるんです。


もちろん、私が人類で初めて気がついたわけではありませんよ!
むか~し昔から、多くの人が使いこなしてきています。
中国武術では“らせん”による力(勁力)の発生のさせ方として
「纏糸勁(てんしけい)」という言葉があるくらいです。



さて、走る時は脚が、投げる時は腕が、ムチのようになると良いといわれますけれど、
これを波の動きだと考えてしまいますと、無理が生じます。
“らせん”が重要なんです。
(脚の場合は体感しづらいですけど・・・)


そういえば、打つという動作で”肘の抜き”が大事なポイントだと、
落合博満氏が『超野球学 バッティングの理屈』(ベースボール・マガジン社)でおっしゃっていましたけれど、
私はこの”肘の抜き”が上手くできるかどうかは、
“らせん”状に動けているかどうかだと思っています。
(野球の専門家の方からは、分ったふうなことを言うな!と叱られるかもしれませんけど・・・)



それはさておき、“らせん”状に先端に力を伝える一方、
返って(帰って?)くる力をきちんと体幹に伝える必要がありまして、
それが“二重らせん”になるのですが、
つまりエネルギーの行きと帰りというように、向きは逆で走行線も異なります。


一方向だけですと、体幹から腕や脚が飛んでいってしまうだけですから、
筋肉が轢きちぎれてしまうのではないかと思うんです。
ピッチャーが肩のインナーマッスルを鍛えるのは、
この轢きちぎれに耐えようというものだと思いますけれど、
エネルギーの流し方を“二重らせん”で考えますと、
筋力だけの問題ではなくなってくるような気がします。



とは言いましても、
2本の腕、2本の脚が“らせん”でつながりますから、そう事は単純ではありませんで、
そのつなぎ目でもある体幹は、複雑な動きが要求されます。
下手な鍛え方をして、動きのない頑丈な箱になってしまわないように、ですね。



あれ?
マイムの話でしたよね。


簡単な例ですと、マイムテクニックでの「押す」も「引く」も“らせん”なんです。


そして、
「押す」の中には「引く」があり、逆の「引く」には「押す」があるということで、
正方向の“らせん”と逆方向の“らせん”の”二重らせん”なんですね。


こんな話をしますと、オーガニックマイムって難しそう。。。
と思われてしまうかもしれませんけど、
自然にそう動けるように私なりにレッスンしているつもりです。
(伝わっているといいんですけど・・・)


もちろん、こんなことまで意識せずとも、マイムは出来るのでしょうけれど、
やっぱり肉体の放つエネルギーも表現力も違ってくるんですよね。



遺伝子が二重らせんであることと何か関係があるのか?ないのか?
それは分りませんけど、非常に有用性の高い身体の使い方であることは間違いないですし、
使えてくると気持ちいいんですよ。


そう、私にとって気持ちいいことはとっても大事。


みなさんは、どうですか?