「輪郭を描くな、構造を描け」といつも言っているが、
それは正確な輪郭を描くためでもあって、
正確な輪郭が手に入ると、人は正しく構造を推測してくれる。
私はこれは運動でも同じだと思うんです。
マイムはもちろんですけれど、ダンスでもスポーツでも何かしら指導者などの示す形を真似るようにしていくと思うんですけど、
その際、決して形を真似しようとしてはいけないと思うんですね。
山中氏の言葉ですと、「輪郭を描くな」ということです。
目に見える形をなぞろうとしてしまいますと、決して同じ形にはならないんです。
一見、似たような形にはなりますけれど、やはり明らかに違ったものとして表れてしまうんですね。
「構造を描くことは、すなわち正確な輪郭を描くためでもある」
ということですけれど、
運動でも本当に形を真似しようとするのなら、
目には見えない内側の運動エネルギーの状態を捉える必要があって、
そうすることで結果として同じ形になっていくんです。
同じ形にするためには、内側の運動エネルギーの状態を捉える必要があるんです。
面白いですよね、形を真似するのに、形を真似しないことでむしろ真似られるんですから。
ところで、そんなに簡単に内側の運動エネルギーの状態、構造を捉えられるのかしら?
って思われますよね。
ポーランドで買ってきたお気に入り
例えば、
武術の達人といわれるような人たちは、ほとんど見かけ上は動かないとうことがありますけれど、
だからといって内側の運動エネルギーが小さいのではなく、むしろ一般の人よりも大きかったりするわけです。
ですけれど、そんなことは動きを見ていてもわかりませんよね。
他人の動きを見る、真似るという場合、
自分の運動エネルギー発生方法あるいはエネルギーレベルを超えたものは感知出来ないので、
つまり自分より雑なものなら分るけれど、繊細、緻密なものは分らないものですから、
ただの見た目を追うことになってしまうんですね。
逆に、自分よりも大雑把な身体の使い方をしている人のことは、分りやすいですよね。
さて、武術の達人レベルのことではないにしましても、
どうしてその形になっているのかという内側のことを捉えるには、自分の内側を磨いていくしかないわけですけれど、
どうやって磨けばいいの?他に何かもう少し手がかりが欲しいのだけれど、
と思うのは自然なことですよね。
そのことを「正確な輪郭が手に入ると、人は正しく構造を推測してくれる。」の言葉を使って考えますと、
限りなく正確に形を真似することが出来てきますと、自分の身体の内側の感覚が変わってきて、
今までの自分にはなかった運動エネルギーの状態を、もう1人の自分が感じ始めてくれると思うんですよ。
え!?形は本当には真似出来ないと言ったじゃない、ですよね。
確かに、何か矛盾したお話のように聞こえるかもしれません。
けれど、ここでポイントになりますのが、形を見るのではなく、雰囲気を捉えるということなんです。
形とともに全体の雰囲気を捉えておくことで、形を捉える精度が上がるんです。
この雰囲気といいますのが、ある意味、
内側の運動エネルギーであり構造が外に見えてきた状態だと思うんです。
で、最後になりますけれどマイムの場合、
この「正確な輪郭が手に入ると、人は正しく構造を推測してくれる。」のように、
例えば、本当に重たい物を扱っている身体の形、その正確な輪郭を表せた時、
観客は正しくその内側の運動エネルギー、構造を推測、体感してくれる
ということを大切にしているんです。
それは同時に、
自分が内側の運動エネルギーを使いこなせて初めて、正確な輪郭をもった形を作ることができるということでもあります。
賛同者はまだまだ少ないですけれど、私はそれを大事にしています。
・・・と、山中俊治氏の言葉をきっかけにお話してみましたが、もしかしたら氏の思いとは違ったことのお話になってしまったかもしれませんね。。。
それはそれで、ご容赦を。
マイムから心と身体の平和を http://www.geocities.jp/mime_jidai/
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