表現しようとする時の、よくある大きな間違いは表現しようとすること。
表現しようとはしていないのに、出てしまうのが本当の姿。
そう思うんです。
舞台は全て虚構です。
それは観客もみんな承知しています。
それでも、そこに真実を見たいと思っている、そう思うんです。
現実ではなく、真実を。
では、演者はどうしたら真実でいられるか?
自分に起きていることを信じられるかどうか?
は大事なポイントだと思います。
頭でイメージしたり、考えたりするのではなく、
身体的出来事として感じられるかどうか?
「表現しよう」としてしまうのは、信じていないからだと思うんですね。
信じるのは意志の力でやることではなく、身体的になされること。
そうして信じられていれば、「表現されて」しまう。
普段の技術的・肉体的な稽古が、そこに辿り着くための方法を身に付けていく稽古になっていなければ、単に体がよく動くとか、上手とか、そういったことを獲得するに過ぎなくなってしまう。
目的を外した稽古は100年やっても、的には当たらない。
舞台上で真実を生み出せるか?
舞台に現れてから消えるまで、真実を生み出し続けられるか?
私たちに常に突きつけられている課題です。