「内股は体に悪い」ということから、
歌舞伎や日本舞踊の女形での内股は体に悪い、
というように思われる方がいらっしゃるかもしれませんけれど、
実はそんなことないんです。
女形での内股は確かに股関節の内旋ではあるのですが、外旋力をかけているんですね。
分りやすく言いますと、内股にしながらがに股(笑)にしようとしている感じ。
う~ん、、、かえって、わけ分らない???
まぁ、日本舞踊をされている方でも、そういった意識をしていない人は多いでしょうから、
今回のお話が上手く伝わるかどうか?
ちょっと前途多難です。。。
でも、気を取り直して進めていきましょう!
身体のことって、見た目ではなかなか本当のことが見えてこないんですよね。
内股にするのは、今どきの女性に多いですよね?
かわいく見えるとか、脚が細く見えるとか、そんな理由があって故意に内股にしている人も多いんでしょうね。
実際、内股にしますと筋力使わなくて済むんですよね。
つっかえ棒的に支えられますものね。
かわいいというのは、イコール弱い(弱さのアピール)とうことだと、私は思ってるんですけど、
内股や内肘(肘を内側に絞って手を外側にする、いわゆるお人形さんの腕の形)は、
まさに典型的な形。
逆の形を考えれば分りますよね?
膝が外に開いて肘も外に張っていたら、強そうですものね?
で、この弱さは本当に筋力を使わなさ過ぎの弱さでして、
一見楽そうなんですけど、関節に偏りのある負担が掛かっていますから、
やがて膝や股関節、腰など(外反母趾なども)が故障の憂き目に遭うわけです。
身体をつっかえ棒のように使えば、当然つっかえ棒の両端に過度の荷重がかかります。
逃げ場がないんですね。
と、こんなわけですから、女形まで身体に悪そうな感じがしてしまうのかもしれませんけれど、
冒頭で述べましたように、実はこの内股は膝が外を向いているんです。
実際に外に向いているかどうかというよりも、
外に向けようとしなくてはいけないということなんです。
日本舞踊では「太ももの内側を強く擦り合わせなさい」というようなことを言われますけれど、
このようにしますと、
太ももの内側を擦り合わせるようなエネルギーは後ろから前に押し出す形になるんですね。
これを内に絞る感じで行なってしまいますと、
前から後ろに押し付ける形になってしまいまして、動きづらくなってしまい、
力みが生まれますから、動きが硬くなってしまうんです。
空手と一緒ではないかと私は思ってるんです。
空手でも内股の姿勢が印象ですけれど、私はあれは股関節に強い外旋力をかける鍛錬法だと思うんですね。
ちなみに、膝(足先)を外向きにした状態で外旋力をかけますと、ちょっと心もとない感じになりやすいんですね。何しろ足先から股関節まで全てを同じ方向に回すわけですから。
その点、内股で外旋力をかけるのは、しっくりくるんです。(どうして、しっくりくるかと言いますと、それは関節が適切な位置から外れずに働いてくれるからなんです。)
もちろん、足裏も大事になってきますけれど、それはまた別の機会に。
そしてこれは、強い力を必要としながら、力むことには決してならなんですね。
このような感じで、女形は内股に外旋力をかけることで、足元からお腹まで中心に力が集まるようになっていますから、一般の女性の内股とは全く違うんです。
真逆と言ってもいいかもしれませんね。
とまぁ、偉そうにお話していますけれど、これに気がついて本当に納得して出来るようになるのに、どれだけの年数がかかったか・・・。
身体のことって、見た目ではなかなか本当のことが見えてこないんですよね。
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