オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

形?状態?~良い姿勢~

スポーツでも踊りでも、楽器演奏でも何でも、
良い姿勢とか正しい姿勢ということを、教えられることがあると思うんですけど、
形を作ろうとしてしまいますと、上手くいきそうで何だかはっきりしない、
もやもやした感じになってしまうと思うんですね。


身体というのは、ただ何もせず立っている時ですら、
常に微調整をし続けてバランスをとっているわけですから、
一見じっと楽器演奏をしているようなものでも、
実際には顔の向きを変えたり、手先を多少なりとも動かしたりしますから、
何もしないでいる時以上に身体のあちこちのパーツを調整しているはずなんですね。
スポーツでしたら尚更ですよね。


ということは、良い姿勢とか正しい姿勢というものを、
ひとつの形として固定しようとしてしまうことは、この調整を邪魔することになりますから、
その良い姿勢とか正しい姿勢といわれるものが、結果的に悪い姿勢、間違った姿勢になってしまう。
そう考えてもいいと思うんですね。



そもそも、「正しい姿勢」という言葉で言おうとしているのは、
あらゆることに柔軟に瞬時に、願わくば無意識で対応出来る状態なんですね。
あるいは、無理なく効率よくスムーズに動けている、パワーを出せている状態なんですね。


形ではないんです。状態なんです。


またあるいは、
達人たちがその状態でいる時の、
外から眺めた時の姿勢なり形を、正しいとか良いとしているわけです。


一般的には、その形を教え教わりしているんですけれど、
本当に私たちがしなければならないことは、
その形を真似ることではなく、その状態になることなんです。


ここ、大事ですよね。



その形を真似ることではなく、その状態になること。





で、その状態になるのに最も大切なことは何か?

それは、自分の身体を形で縛るのではなく、動きを許してあげること。



私たちの身体には、動いていないところがかなりあるもんなんです。
無意識レベルで動きを許していない、といった感じです。


また、指導者の言葉の受け止め方によって、意識的に動きを許していない場合もあると思います。


さらに言えますことは、この動きが許されていないところの代わりに、動き過ぎているところがある。補わなければいけませんからね。



こうして本来の良い状態の身体としてはアンバランスながら、
本人にとってはバランスをとった身体の使い方になってしまうんですね。

ですから、例えば「力を抜きなさい」と言われてもなかなか出来ないのは、
その人にとってはそれで全体のバランスをとっているわけですから、
抜くためには、どこか今は働いていないところが働き出してくれないことには、
絶対に無理なんです。



本当の意味での良い姿勢、正しい姿勢をとるには、動きを許してあげる、
つまり、身体のあらゆるパーツを過不足なく動けるようにしてあげることが大事なんです。



そこで、動き過ぎのところは、必要があって動いているわけですし、取りあえず動けるわけですから、
まずは、動きの無いところの動きを取り戻すことを大事にしてみてはどうかな?と思うんです。


もちろん、この動きの無いところというのは、自覚しづらいですよ~。
神経の伝達が悪くて動けていないわけですから、知覚すること自体が難しい。。。



例えば、私のクラスでは実に様々な動きをするんですね。
準備運動的なものでも整体の要素を入れているせいもありまして、
こんな動かし方があるのか!?というようなものが多いんです。
あるいは、一般的にありそうな動きでも、ちょっとした違いで、
え~っ!???という大きな違いが生まれたりしますから、
やっぱり初めて経験する運動になるんですね。


で、そうしますと、どこがどう動けていないのかが、よ~く自覚出来るようになるんです。
左右の違いはもちろん、動かせるはずのところでも、
ちょっと違うポジションのもとでは動かなくなってしまったりということも分ってきます。
(これは、普段動かせるからと言えど、ポーズによっては不必要に筋肉を固めてしまって、
動いていいのに、動けなくしてしまうことがよくあるんですね。)



呼吸も忘れてはいけませんよね。
呼吸が上手く出来ない、例えば、ノドや後頭部の辺りに力を入れてしまったりというのは、
呼吸にかかわる本当に必要な筋肉が動いておらず、
呼吸には役に立たない筋肉に意識がいっているからなんです。
呼吸しようとすればするほど余計に働かせてしまい、
結果として、呼吸が止まってしまったりするわけです。
こういったことも、クラスでは取り上げていきます。



こうして、呼吸筋も含めて、今まで動きの無かったところの動きを取り戻せてきますと、
身体全体を意識的にも無意識的にもコントロールする力が上がっていくわけです。


こういったことをしませんと、いつまでも動けるところばかりで頑張ろうとしますから、
何をやっても進歩がままならないんですね。故障もしやすいですしね。
(気を付けませんと、頑張っている自分に酔うようになってしまいます。)




自分の身体を自覚して動きを許してあげること無しに、

本当の意味での良い姿勢とか正しい姿勢というものには辿り着けません。

仮に誰かの手を借りて、一時的にその状態になれたとしましても、
それを自分のものとして身につけられるかどうかは別問題です。


ちなみに、私のクラスには、他の分野のことを習ったりしても対応力の高い人が多いんです。
身体の調整能力が上がっているんですね。



何のための良い姿勢なのか?


大事なことは形ではなく、どんな状態か?ということ。


(身体表現としての美しい形というものもありますけど、
それにしましても、表面的に形を作ったものは、やはり美しくないですし。
本人の身体がその形に納得感を持っていないことは、伝わるものです。)



最初にもお話しましたように、身体は常に動いてるのが自然ですから、
形に縛るのではなく、動きを許してあげるということを忘れないでいてほしいなと思います。







【もう間もなく

『INICJACJE ~あるポーランド人マイムからのインスパイア~ 




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