気持ちがいい!
これは、とても大事なキーワード。
皆さん、何かを身につけるとき、どんな風にされていますか?
私は、一生懸命繰り返して身につけるということを、お勧めはしません。
そんな機械みたいなことをしてしまいますと、機械になってしまいます(笑)
身体が機械のように精密に動くようになるのはいいんです。
むしろ、大事だと思っています。
(”機械”のように動くではありませんよ。雑ではなく、精緻な動きができるという意味です。)
機械みたいなことをしていると、
心や感覚が機械のようになってしまうから、
問題なんです。
殊に、オーガニックマイム(アートマイム)は身体運動表現ではなく、
身体表現であり、身体演技ですから、ここは非常に重要なところなんですね。
心の動きを”可視化”するために身体、動きがあるわけですから、
身体をつくる過程で、心や感覚を機械化してしまっては、いけませんよね?
そこで、重要になりますのが、冒頭のキーワード「気持ちがいい!」なんです。
私のクラスに通って5年くらいになる女性がいるんですけど、彼女はとても真摯に取り組んでいます。
けれど、なかなか本人の納得いくような感覚が得られなくて、悩んでいたんですね。
オーガニックマイムには、「メビウスの輪の呼吸」という極めて重要な呼吸法といいますか動きがありまして、
オーガニックマイムの質、ひいては演技の質はこの「メビウスの輪の呼吸」の質如何であるといっても過言ではないものなんです。
彼女は、これが全くできていないことに悩んでいたんです。
動き自体は一見簡単なんですよ。
だれでも、すぐに真似できます。
けれど、できないって悩む。。。
それは、きちんと”質”に向き合っているからですね。
そんな彼女が、先日のレッスンで、とうとう開眼したんです!
彼女も大喜びでしたけど、私だって大喜びですよ!
開眼した後は、これまでと全く感覚が違いますから、彼女の口から自然とこんな言葉が出ます。
「これ、気持ちいいですね!」
「肉体的には辛いけれど、気持ちいいんですよね。」
「でしょ〜。」って感じです(笑)
で、私も言いました。
「辛くないと、気持ちよくならないでしょ?」と。
もちろん、
「そうなんです!」と。
これは、辛い状態を気持ちいいと感じるマゾっ気のことではありませんよ(笑)
この気持ち良さは、一般的には意識的に味わうことが難しいものなんですね。
といいますのは、
これは全身がひとつにまとまった状態でして、
別の言い方をしますと、
呼吸が通った状態、あるいはエネルギーに無駄の無い状態。
頭で考えて動いているうちは到達できないんです。
(厳密には、できないということではありません。)
これが、
普遍的存在への入り口であり、ゾーンに入る準備ができた状態なんです。
(『ゾーンに入っていることが前提?』を、ぜひお読み下さい。)
ですから、「メビウスの輪の呼吸」を覚えて繰り返しても身につきませんし、
それは「メビウスの輪の呼吸」ではないということなんです。
「メビウスの輪の呼吸」になっているかどうか、できているかどうかの目安は、
気持ちいいかどうかです。
そして、この呼吸の質を上げるということは、すなわち、
どの瞬間をとっても気持ちいいと感じられるかどうか。
密度の高さですね。
この「メビウスの輪の呼吸」に限らず、あらゆる動作において、私はレッスンでよく言います。
「できているときは、気持ちいいから、だれに言われなくても、
自分でできているかどうか分かるよ。」
って。
そして、
「それは、はたから見ても分かるんだよ。」
と。
これは、本人が何かを気持ち良く行うことではありません。
ここは、注意が必要!
独りよがりの気持ち良さではないんです。
本当にできているときは、形が決まります。
ですから、
形が決まっていないのに、気持ちいいというのは、嘘なんです。
(例えば、ランニングなどにも言えることです。気持ちよく走れる人なんて、そうはいません。)
もちろん、
形が一見できていても、気持ち良さが生まれないものは、
その形も嘘なんです。
(本当は嘘の形だとばれているんですよ。)
できているときというのは、パーフェクトなんです。
何も足せない。
何も引けない。
そうとしか、ありようがない。
自分であって、自分ではないんです。
だから、気持ちいいんです。
できたときにしか味わえないんですね。
できているという達成感ではなく、そのときの身体の状態はエゴを消してくれるので、
気持ちいいんです。
この気持ち良さの中でずっと演技し続ける、動きつづけるのが
オーガニックマイム。
ですから、辛いことを一生懸命耐えて続けていれば、いつかものになるなんていうのは、
私のレッスンでは考えられませんし、言われたことを真面目にやるということも勧めません。
(もちろん、言われたことをやらないのは、問題外です。)
基準を自分の外に置いてはいけません。
けれど、外から判断できますから、ごまかしは効きません。
先の女性は、自分をごまかさずに5年間やってきたんですね。
うれしいですね。
さて、「メビウスの輪の呼吸」や「呼吸が通る」ことに関心のある方は、
下記ワークショップ情報をご覧下さい。
案内を読むだけでも、身体が変わると思いますよ。
2月1日 『声(音)を体に響かせる〜身体感覚を磨く』
2月12日 『「立つ」「歩く」レッスン 土台編/中級基礎編』
2月15日 『表現者のための呼吸 心と身体のワークショップ』
Body,Mind&Spirit 本当の自分の身体は天才だ!