身体表現といいましても、身体”運動”表現との違いを考えてみるのは大事かな?
と思うんです。
私の考えます身体運動表現とは、身体で凄い事が出来るというのを見せるものでして、
軟体人間、バレエやフィギュアスケートのジャンプや回転、器械体操など、
大雑把にいえばアクロバティックなものでしょうか。
アニメーションダンスも基本は身体運動表現といえると思っています。
それに対しまして、身体表現とは身体や動きによって内面だったり、風景だったり、
何か違うものを見せようとするものだと考えています。
といって、スパッと分られるものではありませんで、
身体表現には身体運動表現を使うことがありまして、
例えば、バレエは全体としては身体表現で、高いジャンプや高速で何回転もしたりといった
身体運動表現をみせてくれますでしょ?
逆に、基本は身体運動表現でありながらも、身体表現が見られるものもあります。
新体操、フィギュアスケートなどはそんな感じではないでしょうか?
これらは、演者・選手・パフォーマーによっても変わってきますから、
大雑把に言えばということではあります。
何も凄い動きをしたら、イコール身体運動表現で、身体表現ではないということではないんです。
身体表現はどこかしら身体運動表現の要素が必要だと思うんです。
身体運動表現の無い身体表現は、ちょっと面白みに欠ける。(個人的にね。)
ただ、身体運動表現だけですとすぐ飽きると思うんです。
もっと凄いのを見せて欲しい!と思ってしまいますし、それしか見所が無い。
最近は違うのかもしれませんけれど、中国雑技団系のものはすぐ飽きます。
(変にもったいぶったり、わざと失敗したりといった演技・・・
心地よければいいですけれど、いかにもですと、
「いいよそんなことは。早くしてよ!」って思ってしまうことありませんか?)
サーカスでよくあります力持ちの2人組みが、
あり得ないポジションでお互いを支えたり、バランスをとったりするもの、
ああいったものも、「すっっごい~っ!!!」という体勢のものをいくつか見れば、
あとは見なくてもいい、ということありませんか?
フィギュアスケートもジャンプさえ見てればいいかな?、という選手は大勢いますでしょ?
それも2回転はいいから、3回転とか4回転だけでいいといったところではないでしょうか?
そうそう、随分前にお話しましたけれど、歌舞伎の玉三郎は、
一般のお客さんに分りやすいようにと、敢えて身体運動表現的にしたりするらしいですね。
全編を身体表現にしてしまいますと、「おーっ!!」というところが無くなって、
お客さんが楽しみづらくなるからなんですね。
ところで、マイムを身体運動表現と捉えていますと、
アニメーションダンスとの違いが無くなってきますよね。
むしろ、大抵の場合はアニメーションダンスの人の方が、凄い動きをしますから楽しめますよね。
では、例えば、身体運動表現を使いながらコミカルなことやストーリーのあるものをする
というのはどうでしょう?
私は、それは身体表現ではない場合が多いような気がします。
と言いますのは、それは手品をストーリー仕立てで見せているようなもので、
大事なのは身体運動の凄さを見せることにあるからなんです。
身体表現は同じ身体運動を使ったたとしましても、
それ自体で意味を持たせようとするものであり、
それゆえ、その身体運動の凄さが分りづらくなる・・・言い方が難しいですね。
凄い身体運動でも気づかれないようにさり気なくする必要があるということでもあるんです。
楽器演奏でも、超絶技巧というのは、身体運動表現の類いですよね。
けれど、その超絶技巧が凄いと思われないように、表現のために使うなら、身体表現。
難曲といわれるようなものには、こういうタイプのものがあるんだと思います。
何度も言いますけれど、身体運動表現と身体表現を明確に分けることは出来ません。
それに、同じ人でも気持ちやコンディション次第で、
身体表現が、身体運動表現になってしまうこともあります。
むしろ、身体表現の難しさはそこにあるのかもしれません。
元々の身体運動自体が難しいものを、
さり気なく何でもないように使いながら、内容を表現していくことで、
観る人の気持ちを強く引きつけようとするわけですから、
例えば、バレエのように身体運動自体が大変ですと(ジャンプやターンに限らず)、
相当なレベルで身につけませんと、身体表現にはなれず、
ただの身体運動表現になってしまうように、ですね。
身体運動表現と身体表現の違い、何だか当たり前のような感じですけど、
演者・パフォーマー側は何を見せようとするのか?
観客側は何を見ようとしているのか?
意外に無意識だったりします。
そのために的外れな表現になってしまったり、批評になってしまったりもしますよね。
自戒を込めてのお話でした。
Body,Mind&Spirit 本当の自分の身体は天才だ!