オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

イマジネーションの落とし穴~思考との違い

イマジネーションというのは、

体感があって初めてイマジネーションなんですね。

「イメージしましょう」とよく言われますけれど、

体感されないものはイマジネーションではないんです。



では、なんと言うか?それは・・・



思考です。



私が度々口にしてきました

「イメージはするのではなく、されるもの。」

は、この体感されている本当のイマジネーションと、

頭で考えている思考との違いを指しているんです。




例えば、単純な話、


「あなたの一番大好きな美味しいものをイメージして下さい。」


と言われたとき、口の中で舌が動いてしまうとか、思わず頬が下がるとか、

においを嗅ぐように鼻の奥とノドをつなぐような息の吸い方をしたり…

といったようなことが起きれば、それは本当のイマジネーションですね。



これに対しまして、美味しいものの絵を思い浮かべるだけなのが、思考です。

どんなにディテールまで思い浮かべても同じことです。



そして、いわゆる表現者にありがちな、気をつけなければいけないことがあります。


それは、「美味しいものをイメージして」と言われているにもかかわらず、

そのシチュエーションなどの方に意識が向いてしまうこと。



盛られている器がどうとか、どんなお店で、どんな人たちと一緒で、どんな様子か?

といったような、美味しいものそのものではなく、

それにまつわるものを詳細に考え出して、それがイメージ豊かであるかのように思ってしまう。。。


もちろん、それらが必要無いということではありません。


けれど、「美味しいものをイメージする」ではありません。


もし、仮に、

「こう言われてしまうと、美味しいものをイメージするのが難しい」

となるようでしたら、それは、

これまで美味しいものを味わった経験が無かったということかもしれませんし、

ひとが美味しいものを食べているのを目にした時に、

どんな味なのかを想像するということがなかったのかもしれません。



それは良し悪しではなく、

自分は実は味わうということに興味が無く、

食事のシチュエーションが大事だったのだと、気がつくことがまずは大事なんです。


ただ、もちろん、そうなれば、

美味しさを表現することはできません。



と、こういう話の展開になりますと、


実際に経験したことしか表現できないのか?


となりそうですけれど、そんなことはありません。



先ほど、「ひとが美味しいものを食べているのを目にした時に、

どんな味なのかを想像するということがなかったのかもしれません。」

とお話しましたように、他人の感覚を自分に写し取るという力を、私たちはもっていますから、

その力を活かすことで、ある意味、自分の経験になるんです。



ミラーニューロンという言葉をお聞きになったことがあるのではないでしょうか?

ものまね細胞ともいわれる神経細胞ミラーニューロンが働くかどうか?どれくらい働くか?

のような気がします。



赤ちゃんや小さな子どもが成長していく中で、

このミラーニューロンの働きは非常に大きいと思うのですけれど、

年齢のせいか?年齢以外の要因が大きいのか?

働きが良い鈍いは、人によって差があるように思います。

あるいは、ミラーニューロン自体の働きは良くても、

アウトプットする際の身体の感度の良し悪しがあるのかもしれません。



(このことが、前回の記事の冒頭の「最近のレッスン方法が変わってきた」ということと

関係があってですね、

これまでは多くの人がミラーニューロンの働きやイマジネーションの問題よりも

アウトプットする際の身体の感度の良し悪しの問題で、

表現が上手くできていないのだと思っていたんです。

ところが、どうもそうでもなく、

ミラーニューロンの働きやイマジネーションの問題にアプローチする必要もある

ということが分かってきました。)



いずれにしましても、本当のイマジネーションといいますのは、

簡単なようでいて、難しい面があるということなんです。

これが美味しいものという、ごく日常的なものではなく、非日常的なものになればなるほど、

イマジネーションから遠ざかり、思考に陥ってしまうであろうことは、

想像に難くないと思うんですよ。



映画『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』で、

綱渡りをイメージさせる稽古が出てきますけれど、

いまお話したようなことがはっきりと現れています。


(イメージできていない例が、これでもかというくらいに出てきます。

それはお芝居の素人でもだれでも分かるくらいはっきりしているのですが、

それを綱の上であんなことできないでしょ、という見方で捉えるのはちょっと違うんですね。

実際にできるかどうかはいいんです。

仮に現実には絶対不可能なことだとしましても、

あり得ると思わせられるだけのイマジネーションの身体化がされていれば、

それこそが役者のマジックであり、

そういう役者になってほしいと思います。)




この括弧書きの中に出てきます”イマジネーションの身体化”というのは、

”体感としてのイマジネーション”とは違うものでして、

前回も取り上げましたけれど、分かりづらいでしょうから、またまた別の機会にでも。




さて、イマジネーションと思考の違いは分かっていただけましたでしょうか?

最後に・・・


思考が働きますと、身体は動きづらくなります。


イマジネーションが働いているときは、身体は動きが出やすくなっています。







Body,Mind&Spirit 本当の自分の身体は天才だ!




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