オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

動くということは、エネルギーを移動させるということ。(センスの有る無しって? 後編)

前回の続きです。

 

動きの練習にあたって最も重要なこと、それは・・・

 

 

動くとは何か?

 

 

これを、どう捉えるかです。私は
 
 
エネルギーの移動

 

 
と、考えています。

 

 

動くということは、エネルギーを移動させるということ。

 

 

ですから、形(姿勢・ポーズ)が変化するだけでは、ここでいう「動き」にはならないんです。

 

 

ということは、見た目では動いていても、動きとは言えないものがあるので、
分かりづらいと思うんですけど、まずは例えば、ランニング。

 

 
ランニングしている人を見ますと、動けている人と、動けていない人がいます。
もちろん、その中間の人もいますし、素晴らしく動けているという人もいるんですね。

 

 

動けていないランニングって、何???
って思われますよね。

 

走るにしましても歩くにしましても、
エネルギーが前方に移動し続けていかなければいけないんですけど、
動けていない人の場合、なんだかその場で足踏みしているような感じなんですね。
腕は振っています、脚も動かしています、という形の繰り返しに見えてしまう動き。
もちろん、前には進んでいるんですけど。

 

 

あるいは、ダンス。
動けていないダンスというのがあるわけですけど、
それは気持ちが入っているとか入っていないということではなく、
ただ立ち位置が変化したり、様々なポーズをするだけ、
力いっぱい踊っていても何か平坦な感じがする・・・どこか盆踊り的なものですね。
コンテンポラリーダンスでも見かける気が・・・

 

 

というようにですね、エネルギーの移動といいますのは、
単に体を動かすということではないんです。
 
 
逆に、一見、動いていないように見えましても、エネルギーの移動がある場合もあるんです。

 

 
例えば、ドアに挟まれそうになって、押し開けようと、でもにっちもさっちもいかない、
そんな状態は、見た目の動きの変化はないですけれど、
エネルギーは足元から手の方へ(同時に、手から足元の方へ)流れていますから、
それは動きがあるということになるんです。

 

 

とまぁ、ちょっとややこしいですね(笑)

 

 

 

なので、ここで、素晴らしく動けているランニングについて、みていきましょう。

 

 
それは、例えば、スピードを出しているのに全く力感のない状態ですね。
 
いわゆる重心が移動しているということなんですけど、
体を前に倒していったら自然に足が出て云々という感じではありませんで、
 
体全体がひとつにまとまっていて、

体丸ごとエネルギーの流れに乗っかっている、

そんな状態をいいます。

 

 
 
 
ですから、逆説的なんですが、
 
素晴らしく動けていますと、本人は自分で動いているという感覚がなくなります。

エネルギーの流れに合わせているだけという感覚になっていきます。

 

 
 
前回、例で上げました、走る際の腿上げ(膝の引きつけ)。
腸腰筋の伸張反射が使えず、大腿直筋などで行なってしまいますと、
本人は「動いている」と強く感じるはずです。
で、そう感じていればいるほど、動けていない走りをしているということになるんです。

 

 

 

では、ドアに挟まれているような、
一見動いていないように見える場合の素晴らしく動けている状態とは、どんなことをいうのか?

 

やっぱり、なんだかややこしいですね(笑)

 

 
 
それは、足元から手先まできれいに力がロス無く伝わっている状態でして、
動けていない状態といいますのは、
例えば、腕とか肩・首ばかりに力が入ってしまうような感じのことで、
筋肉を収縮させれば力が出ると思っている状態ですね。
(マッサージなどをされる方は、どう力を伝えるか?注意が必要ですよね。)

 

 

このように、「エネルギーの移動」という観点で、
「動けている」「動けていない」ということを考えますと、
いわゆる筋トレ系トレーニング、ストレッチ系トレーニングは、
動けるようになることが目的になっていないことが分かると思うんですね。

 

 
 

 

それでは、
 
動きの練習では何が大事か?

 

それは・・・

 

 
単に身体動作を正しく行なうというのではなく、

関節の構造と筋肉・靭帯の働き(反射は大事)からなり得る骨格の動きと、

それに合わせる呼吸力、さらに重力を加味して、

体のどこを通して、どの方向にどれだけのエネルギー(パワー)を移動させられるか?

 

 
 
といったことを、考慮することになります。

 

 
 
そうしますと、よく耳にするこんなことが、実は間違っている(あるいは、勘違いを引き起こす)
ということが分かってくるんです。

 

 
「お腹をひっこめる(力を入れる)」「お尻を締める」「アゴを引く」

「地面をしっかり蹴る」「(ボールを)よく見る」「踵を浮かす(つま先に乗る)」

「脇を締める」「頭が吊られているように」 などなど

 

 
 

 

 
これらの誤解は、

「エネルギーの移動」と「身体動作の正しさ」の関係が

分かっていないことで起きているんです。

 

 

 
 
ところで、面白いことに、パントマイムをすると、どれくらい誤った認識で動いているかが、
はっきり現れるんですよ。

 

例えば、何か重いものを押すとして、パントマイムでやってみて下さい。
たいていは、腕や肩周りに力を込めるだけで、足元は疎かになりますし、
そうでなくても踏ん張ってしまう。そして体幹は疎かに。
つっかえ棒のようになろうとする人もいるかもしれません。

 

 

なので、私のクラスではパントマイムのテクニックがこのような、
誤った認識での表面的なものにならぬよう、
「エネルギーの移動」と「身体動作の正しさ」の関係を理解して身につけてもらうようにしているんです。

 

 

 
「エネルギーの移動」と「身体動作の正しさ」の関係に、分野は関係ありませんから、
これが身についてくるほどに、ご自身の専門分野のみならず、
いろいろな分野での対応力が上がります。

 

 
私がランニングの指導ができるのも、フラメンコでもピアノでも声楽でも指導できるのは、
そういうことがあるからなんです。

 

生徒さんも、山歩きや自転車など、それぞれいろいろに応用しているようです。

 

 

話がそれましたね。。。

 

 
 
 
私たちが何かを行なうというのは、全てエネルギーの移動が重要になりますから、
動きの練習といった場合、身体動作の正しさは当然のこととして、
エネルギーの移動という視点が重要でして、
エネルギーの移動を伴わない身体動作の正しさだけでは、
 
画竜点睛を欠く
 
といった感じでしょうか。

 

 
 
ところで、身体動作の正しさにエネルギーの移動を伴った練習では、
同じ動きの中で、自然と筋トレのような状態にも、ストレッチのような状態にもなるんですね。
(ある人は、筋トレのように感じ、ある人はストレッチのように感じたりします。)

 

ですから、私のクラスの内容を説明するのが、難しくなってしまうんです。。。

 

 

まぁ、それはともかくとしまして、最後に。

 

 
動きの練習をするということは、
「エネルギーの移動」と「身体動作の正しさ」の関係を理解して身につけるということになります。
 
それは結局、
 
ケガや故障、疲労といったものを遠ざけることにもなります。

 

 
 

 

センスを磨くということになります。

 

 
行き詰まった壁を乗り越える力にもなります。

 

 

 
多くの人に目を向けてもらえたらと思います。

 

 

 

 
 

 

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