何をやるか？は問題ではない。
どう居るか？が問題だ。
但し！！！
その、どう居るかで、何をするか？が本当の問題だ。
私のマイムクラスでは、ネタづくりの時間をほぼとっていません。
詳しくは分かりませんけど、一般的にマイムのレッスン（ワークショップでも）といいますと、
レッスンの後半でネタをつくったりするものらしいんです。
（あえて、作品ではなく、”ネタ”と言わせてもらいます。）
それはそれで創造的な楽しさがあるのですけど、私は危険だと思うんです。
何が危険か？
１ 思いつきのユニークさをゴールにしてしまう。
２ 深めることが分からなくなる。
３ 表面的な楽しさで終わってしまう。
・・・どれも同じことですね（笑）
こういったことばかりやっていますと、作品がつくれなくなると私は思っているんです。
作品というのは、ネタづくりの延長線上には存在しないんです。
もちろん、私の考える「作品」ということですが・・・
作品といいますのは、
世界を提示すること。
世界に巻き込むこと。
単発のアイデアを提示するだけでしたら、何も舞台に立つ必要はなくてですね、
紙にでも書いて渡せばいいんです。
コンセプトとかテーマばかりが表に出てくる作品がありますけど、
それが言葉で伝わるものなら、作品にする必要はないと思うんです。
大事なのは、世界に巻き込むこと。
理解してもらうことは目的になりません。
言葉で言い表そうとすると、
何かこぼれ落ちてしまうような感覚を持ってもらうこと
それが重要なんです。
ここのところは、本当に大事！
なので、もう一度。
言葉にしようとすると、
大事なものがこぼれ落ちてしまうような感覚に誘い込む。
そのためには、瞬発的に思いつく”ネタ”ではなく、
「作品」をつくることにトライしないといけないと思うんです。
その上で、その作品を携えて、舞台に立ち、
世界に巻き込むためには、「どう居るか？」はとてつもなく重要なこと。
「どう居るか？」の強度が弱ければ、
世界に巻き込むことは難しく、
世界を提示すること止まりになってしまいます。
ただ、この「どう居るか？」は作品の中でどう居るかですから、
作品の持つ世界観が、たまたま演者本人の持ち味にマッチしていますと、
それなりに上手くいくでしょうし、
例えば、大道芸的・エンターテイメント的なものであれば、
演者の個人的魅力を際立たせる作品をつくることが重要なわけで、
私がここでお話していることとは、また別のことになります。
「何をやるか？」というネタ。
そのネタづくりは、演者の個人的魅力を引き立たせることには役立つと思うんですけど、
私としましては、「どう居るか？」を大事にして欲しい。
作品の世界を創り上げるために。
とはいえ一方で、
「どう居るか？」という自分と向き合うばかりでは、
閉じてしまいます。
「どう居るか？」は目線が自分に向いています。
その目線をもう一度他者、観客に向けて「何をするか？」を大事にしなければ、
マイムにはなりません。
閉じたままで終わらず、一旦は閉じるも、大きく開く。
このとき、世界は大きくなります。
閉じることなく、ただただ開こうとするのが、ネタづくり的な「何をやるか？」。
「どう居るか？」だけでは、閉じた世界。観客はその世界を眺めるに過ぎない。
その先の、「どう居るかで、何をするか？」になって、初めて世界に巻き込める。
観客は自分の感覚に揺らぎを覚える。
アートマイム、オーガニックマイムは、そこ。
ちなみに、「何をするか？」は少し前にお話しましたこちらをご覧下さい。
6月14日 『声（音）を体に響かせる〜身体感覚を磨く 第6回』
7月開講 『アートマイム塾〜シアターカイ本物の俳優修業シリーズ〜』
Body,Mind&Spirit 本当の自分の身体は天才だ！
