「正解はありません」
「あなたの感じたことを大事にして下さい。」
この言葉に、ホッとする人と、不安になる人といると思うんですね。
今回は、身体の使い方でのこの言葉について。
まず最初に言ってしまいますと、私はこの言葉をあまり好みません。
なぜなら、それではどこにも行けないから。
確かに、自分が感じたことは大事で、
人から言われた正解（らしきもの）と同じでないといけないように思ってしまうのは、
望ましいことではないですよね。
けれど、目的地が定まっていなければ、ただあちこちを歩き回る散歩のよう。
ですから、基本的には正解を設定するべきだと思うんです。
もしかしたら、間違っているかもしれません。
たとえそうであっても、正解を設定して練習していくことは大事だと思うんですね。
間違っていることに気がつけたら、かなり進めたということなんです。
何が違っていたのかが分かるようになるというのは、実は、相当に理解が進んだ証拠なんです。
そうして、また次の正解と思われるものを探っていきますと、
もしかしたら、また同じようなところに戻ってくることもある。
けれど、それは決して同じではなく、そのときでは気がつけなかった、
足りなかったものを補えていますし、何より理解の深さが違います。
身体の使い方を気にするということ自体、すでに現状に何か問題を感じているわけです。
良い使い方があると思っているからこそ、何かしら取り組んでいるはず。
であれば、間違いを恐れず、正解を設定しなければ、
取り組んでいる自分に酔っているだけで終わってしまいます。
ですから、
私のレッスンでは正解を設定しています。
といって、それが私の中にだけあって、他の人には分からない私の基準に合うか合わないかでは、
ただの独裁になってしまいますよね。
殊に、
身体表現での身体の使い方は、
正解設定がどうしても曖昧になりがち。
（スポーツなどは結果が数値で出てきますから、ある意味、正解が分かりやすいですよね。
一方、結果さえ出ればいいとなりやすく、身体を壊すような使い方をしてしまうことも多い。）
例えば、
身体表現の際、小さな動き、さり気ない動きでは、（エネルギーが）弱くなりやすい。
力強い動き、大きな動きでは、力みやすい。
きれいな動きでは、形だけになりやすい。（”いかにも”といういやらしさが出てしまいがち）
これらを解消し、良い表現とするのに、
指導者の中にしかない指標で判断していたのでは、
教わる側は、いつまでたっても自分の中に判断基準を作れず、
常に指導者の顔を思い浮かべながらの表現になってしまいますよね？
そこで、私のクラスでは必要に応じて、
（古）武術系ワークショップにあるようなワークを行なうんです。
表現の動きの中で、他の人に腕を押さえてもらって動いたり、表現の形で押し合いっこをしたり、
といった感じですね。
こういったことをしますと、何故その形なのか？何故その動きなのか？といったことが、
頭と身体で理解できるんです。
自分ではなかなか気がつけない力みなんかも、これでパッと分かったりしますし、
意識やエネルギーが足りないところも、分かるんですよね。
以前、バレエのプリエでの脚の使い方も、こういった方法を試してもらったところ、
長年もうひとつ腑に落ちていなかったプリエが、凄く良くなって喜んでいた人もいました。
当然、美しさも増しますね。
こういったことを多く体験していただいたんですよ。
（次回は７月２９日 下記参照）
表現での動きや形は、外から修正できるものではないけれど、
観客はその外に現れるものでしか判断できません。
ですから、やはり外に現れるものが修正されなければいけない。
その外は、内のエネルギーの現れ。
目には見えない内のエネルギーを、先ほどのようなワークで意識下に持ってくる。
そうすることで、その表現の動き・形の正解が分かる。
なんとなく、気持ちが込もっているからOK？
なんとなく、きれいな動き、ポーズだからOK？
なんとなく、その人らしいからOK？
そんなことをしていては、いつまでたっても、あるとこ止まり。
かといって、正解の無いところで、厳しい稽古を続けても、体力と根性がつくだけ。
正解があるというのは、間違いがあるということで、恐さが生じます。
けれど、そこに理不尽さがなければ、進みやすいのではないでしょうか？
6月７日 『重心移動ワーク』
6月７日 『原始歩き同好会』
6月14日 『声（音）を体に響かせる〜身体感覚を磨く 第6回』
（キャンセル待ちでの受付となります）
6月３０日 『エモーショナル・ボディワーク〜伝わる感情〜』
７月２日 『声（音）を体に響かせる〜身体感覚を磨く 第７回』
７月１９日 『声（音）を体に響かせる〜身体感覚を磨く 第８回』
７月２９日 『「丹田・軸・脱力」開発ワーク』
7月開講 『アートマイム塾〜シアターカイ本物の俳優修業シリーズ〜』
Body,Mind&Spirit 本当の自分の身体は天才だ！
