突然ですが、あなたは運動神経バツグンな方ですか？
運動神経のいい人っていますよね。それも、とんでもなく。
先日、陸上競技で有名な大学で、本格的に選手をされていた方が、
こんなことをつぶやかれていました。
「彼らは、同じ練習をしていても、身につくものが違う。」
運動神経の相当にいい人が集まった中で、さらに抜きん出ている人というのは、
同じ練習をしていても（人の見てないところで、多くの練習をしているということではなく）、
到達するレベルが違うということなんだそうです。
これが、いわゆる才能なんでしょうけれど・・・
なぜ同じことをしていて、身につくものが違うのか？
その方もおっしゃっていましたが、土台となる身体の使い方が根本的に違うと。
同じ練習内容でも、身体の使い方が異なれば、同じことをしているようでいて、
その中味は異なるということなんですね。
極端な言い方をしますと、良い身体の使い方をしていれば、どんどん能力が磨かれ、
悪い使い方であれば、どんどん悪化していく。
例えば、やればやるほど、無駄な力の抜き方を覚えるか？反対に、ますます筋力を強めるか？
といったことですね。
実際には、筋力が強まることで結果がついてきたりしますから、
悪化というのは言い過ぎですけれど、土台の質の高い人とは、違う筋肉が増強されているので、
差は広がります。
これが、才能持った人たちが集まった中で、さらにそういう違いがあるということなんです。
身体の使い方が悪いといいましても、一般の人からしましたら、
全く違うレベルの競技能力を持っている人たちなんですよね・・・凄まじい世界です。。
さて、
これを表現に置き換えてみたいと思います。
表現にもそれぞれ練習法があると思うんですけど、
優れた表現者がやってきた、あるいはやっているのと同じ練習をしていけば、
同じように優れた表現力が身につくはずである！
これ、本当かウソか？
あの陸上のお話を聞いた後では、到底同意できるものではありませんよね？
同じ話を聞いても、同じものを観ても、そこから何を得るのか？感じるのか？は
人それぞれであるように、これは当たり前と言えば当たり前。
表現でも、普通の人間は、才能あるといいますか、土台の質の高い人と、
同じ練習を同じようにしていては、厳しい。
私もそんな厳しい中のひとりです。
ですが、今の私は、自分で言うのもなんですが、表現力、身体能力ともに、
厳しい中のひとりとは思われていません。
確かに、昔の自分から見ましたら、今の自分は信じられない状態ですけれど、
ここまですんなり来たわけではありません。
だからこそ、試行錯誤して得たその結果（厳密には過程）を、
やはり私のように厳しい人に利用してもらえればと思っています。
さて、ここでの表現のお話ですけれど、
いわゆる感性といわれるものは、一旦横に置いておきまして、身体のお話に限っていきます。
とはいえ、『身体感性を育てる〜身体と想像力〜』というワークショップを行なっていますように、
表現は身体と結びついていますから、
単なる運動器としての身体ではなく、想像力と結びついた身体のお話として、
とらえて下さいね。
”想像力と結びついた表現のための身体”と
”運動器としての身体”は、
重なる部分と異なる部分があります。
運動が苦手な人は、
”運動器としての身体”としての質が低いということになりますが、
大抵の場合、重なる部分ではなく、異なる部分、
つまり、目に見える運動能力の高さで判断していると思います。
ですから、重なる部分の質が必ずしも低いわけではないかもしれない。
単に、一般的な運動では目が向けられない部分なので、開発されていないだけかもしれません。
もし、魅力的な表現が出来ているのでしたら、この部分を開発し質が上がれば、
さらに魅力がアップします。
（運動が苦手であることが武器になっている場合は別として・・・）
逆に、
身体は動くけれど、魅力ある表現にならない人は、
異なる部分、いわゆる運動神経が良いのだと思いますけれど、
実は、重なる部分の質が低いことが多い。
私はそう考えるんですね。
ここのところが、一般的にはなかなか理解し難いところだと思うんですけど、
その質の低さというのが、あの陸上競技での身体の使い方の悪さと同じなんです。
簡単に言いますと、一見、動けているだけで、実は動けていないんです。
（バレエ、ダンスをある程度やられている方は、
特に注意が必要なところです。）
ちなみに、私の行なう運動的なレッスンは、運動経験には左右されずらいものですから、
上級者向きか初心者向きかを聞かれましても、いつも返答に困るのですが、
それは、土台、つまり重なる部分に焦点を当てているためなんです。
（原始歩き・四足歩行も、ある意味そういった類いの運動ですね。）
そのため、むしろ、運動経験のある人が四苦八苦することが、ままありますし、
学校時代に運動が嫌いでほとんど運動経験の無いという人が、気持良さそうにしていることが
多かったりするんです。
なぜなら、本来あるべきエネルギーの流れに沿って動けるかどうか？のレッスンだからです。
身体は動くけれど、魅力ある表現にならない人といいますのは、
言い換えますと、エネルギーの流れが不自然ということなんです。
ですから、
この重なる部分、運動の土台、
本来あるべきエネルギーの流れに目を向けて身体を改善していくことは、
多くの人にとって、つまり、運動が苦手な人も、動けるのに魅力が出ない人も、
表現力を向上させることになります。
一般的には、ここを才能任せにしてしまっているため、
その才能の差が、つまり、
”運動器としての身体”の分かりづらい部分の差が、
表現力の差となって現れてくるんです。
さらに、”運動器としての身体”のうちの、分かりやすい運動能力だけの向上で満足し
（陸上競技でいう、良くない筋肉の増強などになります）、
あとは抽象的な個人の感性任せになり、
”想像力と結びついた表現のための身体”には目が向いていないことも、
表現力の差を大きく生み出す要因になります。
表現もスポーツ同様、よほどの才能に恵まれていない限り、単に練習を多く行なうのではなく、
身体の土台に手をつけることがとても重要ということで、
表現の場合、その土台が何か？に目を向けることが、大事というお話でした。
いわゆる感性という抽象的なものではなく、具体的な身体・・・
土台に目を向けた運動器としての身体と、想像力と結びついた表現のための身体に
目を向けませんか？
ということなんです。
ちなみに、『身体感性を育てる〜身体と想像力〜』というワークショップは、
次回１０月４日（日）を予定しています。下記参照下さい。
長くなりましたが、希望を自分の身体で感じられるように、そのお手伝いが出来ればと思います。
９月１８日 『マイミクロスコープ 〜夜のアートマイム劇場〜』
新作 「淵」
Body,Mind&Spirit 本当の自分の身体は天才だ！
