前回の記事では、「空間」をキーワードにお話しました。
今回は、それを発展させたお話になります。
キーワードは
「重力」
どんなお話になりますか…お楽しみに!です。
これは身体の使い方で重視される、実際の地球の重力ではありません。
地球の重力は、だれにも等しく鉛錘方向にかかりますけれど、
今回のお話の中では、重力の方向は、自在。
そんな心づもりで、読み進めて下さいね。
私がレッスンの場で、度々伝えることがあります。
それは、
「自分はいつも巨大な空間(球体)の中にいると思うように。」
「自分を中心とした巨大な空間(球体)を、自分の外に作り続けるように。」
これは、
アートマイム、オーガニックマイムにおいて、
一番の土台なんですね。
私たちは地球の上に立っていますから、
足元は空間が無いように思ってしまいます。
私立ちの眼は顔の前側にありますから、
後ろ(横や上も)の空間に思いが至りづらい。
そういった制限を取っ払い、自分を宇宙空間の中心に置く感じですね。
その上で、その巨大な球体状の空間を、演技によって歪ませるんです。
そうすることで、つまり
演者が空間を歪ませることが、
観ている人の(身体)感覚を動かすことになるんです。
これは、オカルトではありませんよ。(笑)
私の舞台を観に来て下さっている方は、腑に落ちるところがあると思います。
一般的には、こういったことを演者が意識的に行なっていませんので、
観る側として経験するチャンスが、極めて少ないというだけです。
で、「空間を歪ませる」です。
ここに今回のキーワード「重力」が出てくるのです。
重力を操ることで、
自在に空間を歪ませるわけですね。
どうやって、重力を操るか?は別の機会に譲るとしまして、
重力を操れると、どうなるか?
先日のプロフェッショナルクラスで、こんな演技をしてもらったんです。
「見知らぬ広い場所を歩く」
以前にも、何度かやっています。
そこを今回は、重力を操って空間を歪ませることを徹底して意識してもらいました。
すると、どうでしょう!?
本人たちが自身に感じる、演技のリアリティーが全く変わります。
「自分が何かをしている」
ではなく、
「自分がそこにいる」
状態になるんですね。
それだけに、うまく空間を歪ませられない瞬間が生じますと、
他人から指摘されなくても、自分ではっきり気づきます。
「あ、今、嘘になった。。」
そして、ここがまた面白いところなのですが、
重力をコントロールできると、受け身の状態になれるんですね。
(これも、私がいつも言っている、重要な状態。)
受け身だからこそ、
「自分が何かをしている」
ではなく、
「自分がそこにいる」
になれるわけです。
受け身の状態を、能動的に、常に、作れるということです。
物凄い集中力を要します。
けれど、集中したら出来るということではありません。
動きとしては何も無いこの稽古の後、
クラス生はいつも以上にぐったりしていました。
言うなれば、その間、ゾーンに入っていた。
(本当は、常にこれをしていなければならないのですが・・・)
重力、気にしてみませんか?