「文脈干渉効果」という言葉をお聞きになったことありますか？
私もつい最近、脳に関する本を読んで知ったばかり。
これは、スポーツでもなんでも、本当に使える身体技能を身につける上で、
その練習・取り組み方法にかかわる、とても重要なものなんです。
技術を身につけるとき、
多くの人が、その技術を繰り返し繰り返し練習しますよね？
こうした一つの技術を連続して練習することを「ブロック練習」といいます。
一方、１回毎など、ランダムに技術を変えて練習するものを「ランダム練習」といいます。
例えば、
カーブならカーブだけ、シュートならシュートだけを練習するのが「ブロック練習」。
カーブとシュートを織り交ぜて練習するのが「ランダム練習」。
普通に考えますと、前者の「ブロック練習」のほうが、
それぞれの技術がきちんと身につくと思われますでしょ？
ところが、結果は、意に反してしまうんですね。
確かに、練習中におきましては、「ブロック練習」のほうが「ランダム練習」よりも
いい結果を出すんです。
けれど、翌日になりますと、「ランダム練習」をした場合のほうが、結果が良いのです。
こういった現象を「文脈干渉効果」というのだそうです。
これは、多くの研究者がそれぞれ実験を行なって、立証されているとのこと。
面白いですね。
練習中に結果を求めてしまう結果、
本番ではパフォーマンス（再現性）が低くなるということです。
逆に、練習の中での結果ではなく、たとえ失敗が多くても、
実践に則した形（実践の場では、基本的に状況に応じてランダムな対応が必要）で行なったほうが、
技術そのものが、高いレベル（再現性）で身につくわけです。
これは、見方を変えますと、極端かもしれませんけど、
まじめな（生真面目な）人より、好奇心に任せられる人のほうが、
本番用の高い技術が身につく。
（まじめな人は、練習用の高い技術は、身につく。）
で、さらに、この「文脈干渉効果」ですけれど、
単にその技術そのものということだけでなく、
その技術を使う際の、環境・状況の変化に対しても、
「ランダム練習」をしていた人のほうが、
対応力が高いとのことなんです。
ただ、やはり一般的には、練習中に結果が出て欲しくなってしまいますし、
思考的にも、一つの技術に集中して取り組んだほうが、いいと思ってしまいますよね。
ちなみに私は昔（このマイムを始めたとき）から、ランダム派です。
（学生の頃はブロック派でした。同じことを何度も繰り返してましたね。。。）
やはり、技術単体で高めても仕方ないと思っていて、
いつでもどんな場面でも、いい身体でいられることを念頭に置いて
取り組んできています。
もっといえば、
練習していないものも、状況に応じて出来てしまう身体
ということですね。
もちろん、生徒さんにも、そうあって欲しいと思っています。
とはいえ、何が身についているのか、「ブロック練習」に比べますと、
生徒さんとしては分かりにくいとは思います。
そういう意味では、信じるものは救われる、でしょうか？
逆に、世に流布する、形や順番があって、分かりやすいエクササイズは、
取り組み方に気をつける必要があると思っています。
その教室内での上手さと、外での上手さ、対応力。
分けて考えたほうが良いようです。
ブロック派？ ランダム派？
