動きの質を上げたい、
もっと動けるようになりたい、
と思っていても、
単に筋力を上げたり、柔軟性を上げても
基本的には変わらないんですね。
なぜなら、体を動かす神経回路は同じままだから。
動きの質を上げるには、
新しい神経回路を作る必要があるんですね。
それは未知の感覚と出会うということ。
ところで、
絵でも音楽でも、もちろん私のような身体表現でも、
いわゆるクリエイティビティ、創造性が必要なものは、
なんでも自由にという中ではなく、
制限があった方が、創造性が発揮されやすいんですね。
私の知り合いの絵を描く人は、
全くアイデアの無い状態で、何か適当な形をまず描く。
そして、その形（色もかな？）から湧いてくるアイデアで
描き進めていくと言っていました。
私自身のアートマイム作品の作り方も似ています。
つまり、自分自身にとって思いがけないものである必要があるんですね。
そのために、制限・縛りをかけることが、有効なわけです。
で、これは「動き」も同じなんです。
例えば、ケガをしてどこか身体の一部が動かない時、
それでも何かしなければなりませんと、
いつもとは違う動き方になりますでしょ？
今まで使ったことのないところを使うようになったり、
思わぬ体勢になったりしますよね。
まぁ、「やむを得ず」ではあるんですけど、
だからこそ、動きのクリエイティビティが発揮されるわけですね。
・・・クリエイティビティなんて言い方、大袈裟ですけど（笑）
このクリエイティビティを、ケガをしなくても発揮するようにしたらいいんです。
となりますと、
動かせる部位であっても、
あえて、そこを動かさないように制限をかけて、
色々と動いてみる。
そんなに大袈裟なものでなくていいんです。
例えば、片手を腰に当てたままで、
それ以外の動かせる部位を、様々に動かしてみる。
それだけでもいいんです。
例えば、体を左右に捻るようにクルンクルンとしたとします。
普通は両腕ともぶらんとしていて、なんとなく体に腕が巻きつくような動作ですね。
これを片手を腰に当てたまま行ってみて下さい。
ぶらんとしている腕の肩甲骨はあまり動きませんけど、
腰に手を当てている側の肩甲骨は、いくらか動かされるようになると思うんです。
なぜか？
腕をぶらんとしていますと、そのぶらんぶらんが揺れを吸収してしまい、
肩甲骨は動かなくて済む。
手を腰に当てていると、腕の揺れで吸収できないので、
肩甲骨がその役割を果たすようになる。
といったように、ちょっと制限を加えるだけで、
いつもやっているような動きでも、
身体の働く場所が自然と変わってくるんですね。
そのことによって、未開発なところが使われるようになるというわけです。
身体にも脳にも新しい刺激となります。
（例に挙げた、片手を腰に当てての捻転運動は、全身のバランスも通常とは異なりますから、
その意味でも、全身のあちこち細かいところで、通常とは違う動き方をしているんです。）
未知の感覚と出会う。
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