赤ちゃんの泣き声って、すごく大きいですよね。
腹式呼吸だから大きいと言われたりします。
けれど、それだけ??
赤ちゃんの泣き声の大きさは、単なる音のボリュームだけではないですよね。
ちょっと緊急事態的な感じがしませんか?
そりゃあそうですよね。赤ちゃんは言葉で訴えることが出来ません。泣くことしか出来ない。
必死です。
この赤ちゃんの泣き声が、ここ3回続けて話題にしている「ん」発声のお話につながってくるのですけれど、
ところで、緊急事態の際に使われる音って、サイレンに代表されるように、不快感を伴う音ではありませんか?そして(音程が)高い。地震などの緊急速報の警報音、本当にびっくりしますよね。
まあ、だからこそ、耳に入ってきて注意が向くわけですね。
で、この警報音的な声、何か思い当たりませんか?
そう、「ん」発声のお話でずっと出てきている、甲高いアニメっぽい声ですね。
つまり、赤ちゃんは腹式呼吸云々の前に、「ん」発声がベースにあるのだと思うんです。
腹式呼吸でしっかり声を出せる人は、世にごまんといます。けれど、その人たちの声は赤ちゃんとは明らかに違いますね。もちろん、赤ちゃんのような声を出そうとはしていないから、というのはあると思うのですけど、腹式呼吸で声を出したからといって、赤ちゃんのような声にならないことは確かです。
赤ちゃんは、声の大きさよりもまずは警報音として発声する必要があり、それゆえ「ん」発声がベースになっている。
と考えてもいいのでは?と思うんです。
まぁ、「ん」発声を体感するにはいくらかの訓練が必要なので、実感することが難しく、この一連のお話、「???」かもしれませんけれど、強引に続けます!
赤ちゃんの泣き声を文字にすると、どんな感じでしょう?
一般的には「おぎゃぁ」「ほぎゃあ」でしょうか?
これ、実際に声に出して読むと分かるかと思いますけれど、本当に赤ちゃんぽくしようとしますと「お(ん)ぎゃあ」「ほ(ん)ぎゃあ」と「ん」を入れる感じになりませんか?
いや、そもそも「ほ」とか「お」ではなく「(ん)ぎゃあ」だと思われる方もいらっしゃるかもしれせん。
猫の鳴き声、特にサカリのついた猫の鳴き声って、ほぼ赤ちゃんの泣き声ですよね?
で、そのサカリのついた猫の鳴き声は、「ン”ニ”ャァーッ!」
「ん」どころか、濁点のついた「ん”」のような感じ。
日本語は子音と母音がくっついている言語であるために、「ん」という「n」子音で始まる音を判別しづらく、母音をつけて理解してしまい、「ほ」「お」をつけて「んぎゃあ」を「お(ん)ぎゃあ」「ほ(ん)ぎゃあ」としてしまうのではないかと思われます。「ん」を「う」に置き換えて「うぎゃぁ」もあるでしょうね。
ちょっとお話が逸れますけれど、動物の鳴き声を日本人は一般的に「ひひ~ん」「こけこっこ~」「にゃ~」のように文字で書き表せる形、言葉と変わらない感じで表現しますけれど、欧米の人はリアルな音の再現になるようですよね。
言葉的にはならない・しない。
(虫の音を雑音として聞くのか?心地良い鳴き声として聞くのか?の違いにも通じると思うのですけど、お話が逸れ過ぎますので、これはまたの機会に。)
英語など多くの言語は独立した子音としての音があり、それに母音が組み合わさる形であるために、子音を聞き取れる・聞き分けられる。
ですから、「んぎゃあ」に「ほ」「お」をつけて「お(ん)ぎゃあ」「ほ(ん)ぎゃあ」とせずに、そのまま「んぎゃあ」で理解出来る・聞き取れるのではないかと思われます。
いずれにしましても、(日本人的には「ん」を感じ取れないかもしれませんけれど)赤ちゃんの泣き声は、「ん」発音がベースであるということなんです。
そのことによって、警報音としての役割を果たしている。
そこに、腹式呼吸が合わさることは、音の大きさだけでなく、前回お話をしましたように、柔らかみや丸みのようなものが出ることになり、ただただ不快感の強い警報音ではなく、つまり遠避けたくなるだけの音から、なんとかしてあげたくなる音・声になるのだと思うのです。
と、赤ちゃんの泣き声を見てきますと、私たち大人になった日本人でも、元はみんな「ん」発声を腹式呼吸でやっていたはず。ということなんですよね。
(ちなみに「ん」を「ん”」としっかり発音するには、声帯・喉をしっかり作用させる、つまり母音であるかのように発音する必要がありまして、そうしますとよりお腹を使うことになります。)
ですから、「ん」をベースにすることは、決して突飛なことではなく、むしろ自然に還るみたいな、本来の発声を取り戻す感じとも言えるわけです。
和の発声が「ん」発音がベースになっていると考えますと、さらにリズムの取り方にもつながってきそうですし、この「ん」発音仮説は、面白い!(私には 笑)
【公演のお知らせ】
3月15日(金) 19時半開演(20時半終了)