以前、SNSでこんな感じの発言を見かけました。
「なぜ、最高峰の人から学ぼうとしないのか!?」
どう思われますか?
私は、最高峰なんて大袈裟なものでなくても、レベルの高い人から教えてもらえば良いとは、思わないんですよね。
教え方のレベルではありませんよ。
その道での実践レベルの高い人から、基礎的なものは教えてもらえません。
いえ、もちろん、教えてくれるとは思います。
けれど、基礎だと考えているレベルが違うんです。
こんな話があります。
あるトレーナーが、プロ野球か何かの選手たちに、あるエクササイズをやってもらったんだそうです。
選手たちはみんな簡単にこなしてしまったので、トレーナーの人が面食らって、普通はこれ出来ないんですよ。。。と。
で、選手たちは、え?普通の人は大変なんですね。と。
つまり、出来ていて当たり前のものが違うんです。
まさか、こんなことが出来ないなんてあり得ない、という感じなんです。
他に例えば、腕の力を抜いてプランプランさせて、と言われたとしましょう。
一見、誰でも出来そうなものですよね。
けれど、これですら、大きな差があるんです。
質の高い脱力が出来る人は、適切なところに適切な力を入れることが無意識的に出来てしまっているがために、脱力の質が全く違うんです。
ですから、多くの一般的な人は力を抜いてプランプランさせているつもりでも、これ以上力の抜きようがないという状態であっても、全く十分ではなかったりするんです。
といったように、(ここで言う)レベルの高い人と一般的な人とでは、それがたとえ肩を回すでも、振り向くでも、何でもない動き、最低限これくらいの質で出来るでしょ?のレベルが違うんです。
で、こういった基礎のキの字にもならないようなものが、その先のことに全て関わってくるわけです。
レベルの高い人が指導する際に、そこに気がつける人なら、いい人なら、個人的になら、その相手のレベルに降りようとはしてくれるかもしれません。けれどそれでも、想像だにしないくらいに、遡る必要があったりするんです。
同じことを繰り返しますけれど、普通には出来ている肩を回す、振り向くという動作が、実は全く質が違うなんて、教える側も教わる側も、想像しませんでしょ?
これはリハビリのレベルの話になってしまうわけです。
もちろん、その教わる側の人は日常生活に問題があるわけではないですから、一般的な意味でのリハビリではありませんけれど、その分野のことをするという目で見ると、リハビリなんです。
どんな分野でも、大抵は基礎練習みたいなものがあります。そこで、身につけなければいけないものがあるわけです。
けれど、実際には身につかない人がほとんどなんです。
身につく人がセンスの良い人で、そういう人がその道での実践レベルの高い人になっていくんです。
ということは、実践レベルの高い人は自分の経験してきた基礎練習をやってもらえば、誰でも基礎が身につくと考えますでしょ?
ところが、身につかない人の方が多い。(身についていると思っているかもしれませんが)
その身につかないタイプの人が、実践レベルが高い(だけで教えることに腐心しない)人に教わっても、難しいと思いませんか?ということなんです。
正直な話、私自身がその身につかないタイプの人だったと思います。
ですから、アートマイムを学び始めてから、解剖学の本で勉強したり、様々なスポーツや武術の動きの原理を学びとるようにしたんです。
ただひたすらにアートマイムの稽古を積んだとしても、全くモノにならないだろうと、その点は残念ながらと言いますか確信がありました(笑)
ただ、それは同時に、それを確信出来るだけの才能・センスはあったわけですね。自慢には全くならない才能(笑)
と、私自身が、こういうタイプでしたらから、指導の際には、出来るだけリハビリの要素を組み入れながら進めているんです。
そうしますと、まだまだ遡る必要があることも見えてきます。
とはいえ、あまりに遡った内容は、グループレッスンでは取り入れるのが難しいんです。非常に個人的な内容になりますのでね。(こういったものは、定期個人レッスンでじっくり取り組み必要があります。)
さて、お話が長くなってしまいそうなので、この辺りでお終いにしようとは思うのですけど、実践レベルの高い人の多くは、特に現役であれば、リハビリ指導をしたいと思わないんです。
そもそも、実践レベルの高い人は感覚でやっています。下手に言語化・理論化することが感覚に狂いを生じさせかねないので、迂闊に手を出さない方が良かったりするんです。
リハビリ指導には向いていませんでしょ?
お話は尽きません。。。
次回公演は12月13日(金) 大型企画です!!