このあいだ、プラスとマイナスのことを書きましたけれど、もしこの世に、矛盾が無かったとしましたら、私たちは、生きながら死んでいるようなものなのでしょうか?
もしこの世が、愛で満たされ、愛しかない世界だったとしましたら、愛をどうやって感じるんでしょう?
どうしたら、愛が大切なものだと思えるようになるんでしょう?
もしこの世が、平和で満たされて、揉め事のない世界だったとしましたら、平和をどうやって感じるんでしょう?
もしこの世が、喜びで溢れ、悲しみのない世界だったとしましたら、どうして喜べるんでしょう?
もしこの世に、美しいものしかなかったとしましたら、どうしてそれが美しいと思えるんでしょう?
もし朝しかない世界だったとしましたら、それは朝なんでしょうか?
もし死ぬことがなかったとしましたら、それは生きているというのでしょうか?
この矛盾というものの中にこそ、生きているという実感が湧くのでしょうか?
孤独が愛を求め、死が生を求め、恐怖が安心を求め、苦が幸を求め・・・
神は悪魔を必要とし、天国は地獄を必要とし、金持ちは貧乏人を必要とし、勝者は敗者を必要とし・・・
自己否定が賞賛を欲し、寂しさが楽しさを欲し、無力感が充実感を欲し・・・
それでいて、満たされると失うことを恐れ・・・
淡々と生きていくのは、死んでいるようなものなのでしょうか?
それとも淡々と生きていくのが、最高の幸せなんでしょうか?