オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

素振り、何のためにしていますか?

あらゆるスポーツでの練習におきまして、実戦形式しかないというものはないと思うんです。

素振りやシャドー何々というものや、型の練習に、同じ動きの反復練習などなど、
ひとりで黙々と行う練習ってありますよね。

厳しいところでは、しばらくの間、その競技に必要な道具(ボールでも、クラブでも、剣でも)に触らせてもらえないかもしれませんしね。

それはある特定の動きを憶えたり、ある特定の技術を習得するためなんでしょうか体力や筋力をつけるためなんでしょうかそれとも単に、何となくでしょうか

思いますに、これは自分の身体と対話する貴重な時間。

この時間が濃密であればあるほど、良いわけですけれど、それは決して時間の長さや、回数といったことではありませんよね。

対話ですから、どれだけ深い話が出来るかどうか?だと思うんです。
自分の身体と深い話・・・

それにはまず、どんな結論を得ようとしての対話なのか?をきちんと意識することが大切だと思うんです。

見た目を良くしようとしているのか
速さを追求するのか
パワーを付けたいのか
動きの流れをスムーズにしたいのか

で、それがはっきりしたとしまして、
では、見た目の良さというのは、どういうことなのか?かっこいいというタイプのもの?美しいというタイプのもの?

速さとは何に対しての速さなのか?機械で測定できる絶対的な速さ?相手に対する相対的な早さ?

パワーとは筋肉の大きさによる力なのか?それとも体重などの重さによるもの?動きが生み出すエネルギーのこと?

動きの流れがスムーズというのは、繰り返しで慣れること?変幻自在のベースになるようなもの?

目指す方向によって、対話の内容は随分と変わってきますよね。

それともうひとつ大きな大事なことがありますね。それは、自分の身体をどういうものとして見るか?

身体は
筋肉で動いている
骨と骨の位置関係や、連動性で動いている
袋に入った液体のように動いている


自分の身体の見方と、話したい内容(得たい結論・目指すもの)の組み合わせを考えますと、なんだか嫌になってきそうですか?

で、例えば、JIDAIマイムでは、見た目は美しさを、パワーは動きによるエネルギーとして、スムーズさは変幻自在のためにと考えています。
速さに関しましては、対人競技ではありませんので、絶対的な速さなのかもしれませんけれど、大切にしているのは加速度ですね。

身体をどういうものとして見るか?につきましては、全てといえば全て。
とは言いましても、筋肉に関しましては、基本的には骨の位置を調整するためのものとしています。

JIDAIマイムでは、柔らかさと強さを兼ね備えていなければなりませんし、繊細さと豪快さも矛盾するものではありません。むしろ同一のもの。

パワー、美しさ、変幻自在さ、速さ・・・
全てが同時に成り立つものとして鍛練してくんですけれど、そのことが、おそらく他のマイムでは考えられないような練習風景になっているのだと思うんです。

野球、テニス、ゴルフ、サッカー、剣道、相撲、ボクシング、空手、柔道、中国拳法などなど、あらゆるスポーツの素振りに相当するものを、
時に力強く、時に速く、時にスローモーションで行うことが、素晴らしい練習になりますから。

JIDAIマイムでは素振りは欠かせないのです。

ただし、誤解しないで下さいね。いろいろなスポーツをやることが良いということではなく、身体の運動エネルギー経路を強靱なものにしようと動きますと、自然に様々な素振りの形になっていた、ということなんですよ。

ですから、いろいろのようでいて、結局はひとつ。足の運びや腕の角度が違って見えましても、全て同じことなんです。

まぁ、とにもかくにもスポーツの人も、JIDAIマイムの人も素振りという、自分の身体との貴重な対話の時間を楽しみましょ~~~っ!