各分野特有の専門的な技術、具体力とでもいうようなものを向上させる(支える)のは、
筋力や柔軟性なんでしょうか?
私はもっと本質的な力だと思います。
筋力アップもいい。柔軟性アップもいい。
けれど、動きの本質を見ようしなければ、今の延長線上。
例えば・・・
指先だけしか動かさないようのものでも、足の裏は重要です。
先日の「ピアニストのためのコンディショニング」で、うまくお伝えできれば良かったのですが、
いえ、ピアニストに限りませんので、ちょっと試していただけますか?
両足で立った状態で、ピアノを弾くような感じ、あるいはパソコンを打っているような感じで、
指先を高速で小刻みに動かしてみて下さい。
次に片足で立って、同じようにしてみて下さい。
いかがでしたか?
指を動かす速さなどに違いを感じられましたでしょうか?
もし分らないようでしたら、指先は動かし続けたまま、片足立ちと両足立ちを交互に何回か繰り返してみて下さい。
どうでしょう?
両足立ちのほうが、やり易いですよね?
片足立ちになりますと、若干指に力みが生まれませんでしたか?
当たり前?
そうですよね、バランスが悪いわけですから、力みが生まれてしまいますよね。
けれど、このバランスの悪さって、意外にみなさん気にされないんです。
椅子に座っていれば安定している、両足で立っていれば安定していると、
なんとなしに思ってしまっているんです。
最初に足の裏といいましたのは、このバランスのことでして、体重をどう支えているか?
ということなんですけれど、座っていましても、足の裏は大事なんですよ。
もちろん、座面との接触面も大事ですけれど、足を浮かせますと、ね、全然違うバランスになりますものね。
足の裏でも支えているわけです。
さて、先ほどの指先高速小刻みでお分かりいただけたと思いますが、
バランスの悪い状態では、身体のどこを動かすにしましても、
力みによって制限されてしまうということです。
そんな状態で、より速く、より強くなんてしますと、身体にはそれだけ大きな負荷がかかります。
逆により柔らかく、より繊細にということも、すでに力みがあるわけですから、限度があります。
筋力アップや柔軟性アップで対応しようとすることの、おかしさが分ると思います。
(不必要と言っているのではありません)
大事なのは、バランスですね。
けれど、ここでまたひとつの大きな問題があります。
それは、一度バランスの良い状態になればいいということではない、ということです。
例えば一見じっとしているようなピアノにしましても、実際には常に動き続けているわけですし、
しかも力の強弱も生み出すわけですから、その度にバランスは崩れていきます。
ということは、常に良いバランスを求めなければいけないということになります。
身体全体を動かすスポーツやダンスではなおさらです。
で、バランスボールでのトレーニングなどがあるのだと思います。
けれど、やはりここでまた大きな問題が・・・
バランスはキープ出来るだけでは足りません。
バランスを上手く崩すことで生まれる、力、それは筋力ではない力、そういったものをバランスボールでは学べなくなってしまうんです。
このバランスの崩し方を学ばずに、筋力アップすることは、
やはり本質的なところから遠ざかってしまう。。。
「使える身体」の土台・・・
バランスが崩れないような安定感の下で力みの無い動きをし、
バランスを崩すことで生み出す力を利用する。
そう思ってもらえる人が増えるといいなと思います。
マイムから心と身体の平和を。