オーガニックマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

補い合う身体と内面

身体に隙があったり、内面に隙があったりしますでしょ?


動き(身体)を訓練していくだけでは動き(身体)のそういった漏れに気がつけないところがあって、
それは内面の訓練をしていくと自然に気がつけますし、


内面の訓練だけでは内面の漏れに気がつけないところがあって、
それは動き(身体)の訓練をしていくと自然に気がつけます。


と私は考えていて、と言いますかそう実感しているんですね。



私は不思議な動きや面白い動き、綺麗な動きが大好きで、
それでいて運動神経が良かったわけではないものですから、
凄い人たちの動きを見て、どうしたらあんな風に動けるのかを、
様々な方向から分析していまして、ある意味科学的に動きを捉えていってるんです。


ところが私たちのマイムは内面を非常に重視するものですから、
そうやって科学的に動きを訓練していっただけでは、マイムにならないんですね。



しかも、私はもともと「お芝居をやりたい!」という人間ではなく、
むしろ、「人前で演じるなんてとんでもない!」という人間です。
それに、普段から大袈裟に感情を表に出すタイプでもありません。


そこで、内面の訓練が必要になってくるんですけど、理由もなく笑ったり悲しんだりということに、
物凄く強い抵抗を感じてしまう人間なんです。
(はぁ~、とても出来るものではないんですよぉ~。ほんとぉにぃ~。)



こんな人間が内面をしっかり表に出すようにするには、物凄い訓練が必要なんです。
それは例えば、ある演技に対して演出家から何度も何度もダメ出しをされて、
頭が真っ白になってそれこそもうダメだとこれが最後だと演じてみたら、
オーケーを出されるみたいな。。。


わぁーーーっ、これはお芝居人間ではない私には無理、無理ぃ~~~っ!!


と、なんとも心が弱いですよね。
ですから、内面を表に出せるようになるために、身体と呼吸や空間意識といったものを使うことで、
これまたある意味科学的に(『エモーショナル・ボディワーク』で)出せるようにしてきたんです。


と、このように特別な能力に恵まれていない私は、
動き(身体)も内面も科学的に訓練をしていくことで、
現在の身体能力と表現力を身につけてきたんですね。


こういったやり方を好まない人もいるとは思いますけど、
役に立つ人も大勢いるんじゃないかなぁと思うんです。


これは見方を変えますと、才能ある人が自然にやってしまって、
あるいはがむしゃらにやっているうちにいつの間にかできるようになってしまったような、

他人にはそのやり方を伝えられないものを分析することで、
広く一般の人も出来るようにするということなんです。


全く同じことができているかどうかは定かではありませんが、そう遠くないとは思っています。



こうして身体も意識できて、内面も意識できてきますと、
動き(身体)の漏れを内面によって導き出し補うことが出来てきますし、
内面の漏れを身体が教えてくれ補完してくれるようになるんです。




そうですねぇ、例えば、「集中」というものを考えてみますね。


集中というのは内面の問題のようですけれど、身体の問題でもあるんですね。


内面だけが集中しているつもりでも、
身体に力んでいる箇所があったり、ゆるみ過ぎている箇所があったりしますと、
それは思い込みの集中で、本当には集中出来ていないんです。


ですから、意識を内面に向けるのではなく、
身体のエネルギーを満遍なく行き渡らせることに向けることで、内面が集中できてくる。


逆に、身体の力んでいる箇所、ゆるみ過ぎている箇所をうまく修正出来ない時に、
内面をすーっと静かに集中させますと、自然と身体の方は修正されてしまう。


まぁ、そう言葉でいうほど簡単ではないかもしれませんけど。。。



私は内面だけ、身体だけとどちらかに焦点を当てるのではなく、
お互いを循環させて全体を引き上げていければなと思っています。