指導者の言うことを信じていませんか？
「肩を下げて」
「お腹を締めて」
「おへそを引っ込めて」
「お尻を締めて」
「頭から吊られるように」
「息をして」
「引き上げて」
「しっかり踏んで」
「あばら（肋骨）を締めて」
などなど
指導者のこういった言葉を鵜呑みにしてはいけません。
ネットでの言葉も同じです。
もちろん、私の言葉も。
こういった、分かりやすい言葉は危険なんです。
（なので、私は、こういう分かりやすい言葉は、ほとんど投げかけません。）
１）その言葉の意味する感覚が、指導者と受け手で異なる。
例えば、指導者自身の息の仕方と、受け手の息の仕方が、実際には異なっているのだけど、
両者とも、自分以外のやり方があることを想像しないため、
受け手としては、要求されている息の仕方ではなくなる。
で、気がつきようもない。
但し、ここでは、指導者自身が正しい感覚かどうかは、別問題。
２）指導者自身が間違ったやり方をしている。
例えば、お尻を締めるといったとき、大臀筋でギュッと締めていたり、
肛門括約筋をギュッと締めていたりなど、本当は良くないことをしているのだけど、
指導者本人は良いと信じ切っていることがある。
３）指導者自身が出来ていない。
間違ったお尻の締め方も同じことではあるけれど、
例えば、「丹田」といった神秘性を帯びた言葉には要注意。
指導者本人が受け売りで、単なるイメージだけで、何も分かっていないことがあります。
４）指導者は全てを言葉にしていない。出来ない。
言葉は、身体に起きていることの一部しか言い表せません。
仮に全てを言えたとしても、時系列が異なります。
身体では腕や脚、お腹などのあちこちで同時多発的に変化が起きるのに、
言葉では順番ができてしまうし、言い出したら切りがない。
５）指導者も自身の全てを把握はしていない。
これは４）とも通じますが、指導者本人も無意識でやっていることがあります。
子供の頃から専門的にやってきていたり、
センスのいい人が指導者になることが多く、
本人が自覚しづらい無意識の身体操作が隠されています。
６）実は、指導者自身は、そういった意識の仕方をしていない。
これは１）とも似ています。
そもそもそんな意識でやっていないにもかかわらず、
世間一般で言われてる言葉が、便利そうだから使っているだけ。
指導者自身は肩を下げるなんて意識してないけど、下がっていて、
なので、生徒さんの肩が上がる理由が全く分らなかったりするんです。
７）それが、役に立つとは限らない。
指導者本人には役立っているかもしれませんが、
必ずしも、あなたにとって役立つとはいえないこともあります。
（後々、役に立つことかもしれない。）
受け手であるあなたにも、無意識の身体操作があるので、
言われたことをすると、かえって身体が混乱する場合がある。
さて、
２）や３）の場合は、習う人にとっては、ある意味、悲劇ですけれど、
学ぶときって、本当に正しいことが絶対の価値ではなく、
指導者の人柄などで、何か幸福な時間を持つといったこともあるでしょうから、
それはそれでいいんです。
指導者だって、はじめから完璧ではありません。最後まで完璧ではありません。
進歩もすれば、後退もします。
で、それはそれとして、
教わる側としては、言外のことを見て感じ取る力が必要ですよね。
指導者の言葉が、本当は 何を言おうとしているのか？
その真意を推察する。
その際、ひとつ大きな力になることを、最後にお伝えしておきます。
指導者の姿、全体の雰囲気を掴む。
上手に、習って下さいね。
最新作『鏡』上演写真
