重力をそのまま、
重さとして活かすのか？
重力を反力として活かすのか？
これは、非常に重要な問題でして、
一般的な運動では、
反力として活かすことだけに
目が行ってしまっているために、
体に無理がきやすいんです。
武術系のデモンストレーションで
よく見られますが、
達人は何もしていないようなのに、
相手方が投げ飛ばされてしまったり、
押しても押せないといったもの。
こういった、不思議な技、
重力の活かし方の違いによるものが
あると思われます。
つまり、達人は、
重力をそのまま、
重さとして活かしており、
相手方は、反力として使っているということです。
例えば、
サッと動くとき、
どちらのほうが、速いか？
それは、
そのまま重さとして活かした動きになります。
反力として使うということは、
重力からの変換作業が必要
ということで、
一度、地面（床面）を踏む必要があります。
要するにジャンプですね。
これは、
武術の世界でいわれる
「居着き」
になります。
サッと動こうとしているにもかかわらず、
一度、地面を踏んでしまいますと、
その瞬間は、その場で止まってしまっているわけです。
動こうとする気配も
全開ですよね。
こういう力の使い方をしている人に対して、
重力をそのまま重さとして使える人が相手をしますと、
相手が踏んだ瞬間、移動する前に、
達人は既に動けているわけですから、
敵うわけがありません。
押し合いにしましても、
一般的には、力を出そうとして
反力を使うことしか出来ませんから、
それは、結局ジャンプの動きであって、
体が軽くなっているわけですね。
その状態で腕・肩などの筋力で押しても、
当然、力は弱い。
と、こう見てきますと、
反力はいいことがないようですが、
そんなことは、ありません。
反力には、爆発力があります。
爆発とは、
圧縮されたエネルギーが瞬間的に
解放されることです。
ジャンプの際の、
地面を踏むという行為が、
重力に対する圧縮作業だと見ることができますね。
サッと動くには、
重力をそのまま重さとして活かすほうが、
有効とはいえ、
一気に大きく移動する際には、
爆発力のある、
反力に変換して活かすほうが、
有効ということになります。
陸上100Mの五輪選手、
50歩かかりません。
1歩あたり、2M以上です。
当たり前ですけれど、
普通はこんなに一歩毎に飛べません（笑）
もちろん、
爆発力を生む分、（五輪選手でなくても）
体への負担は大きくなります。
ですから、
日常生活では、
重力を重さとして活かせることが大切かと思います。
スポーツなどでは、
場面場面で求められるものが
変わってくるとは思いますが、
重さとして活かすことは、
一般的には、やってきていないので、
出来るようにしたほうがいいことが多いと思います。
その上で、反力との融合を図る。
（重さとして活かすことと、反力として活かすことは
両立できますし、両立できなければ、
高いパフォーマンスは発揮できません。）
体を整えること、
筋力をつけること、
柔らかくすること、
呼吸をよくすること…
こういったことも、
普段、どのように重力とつき合っているか次第です。
そのまま、重さとして活かす。
反力として活かす。
考えてみませんか？
