この地球上にいる限り、
重力を無視するわけにはいきません。
むしろ、重力を味方につけたほうがいい。
ボディワークの世界は、
重力を味方につけた身体のあり方を
私たちに教えてくれます。
簡単にいえば、
余計な筋力を働かせない。
立っているとき、座っているとき…
ただ、これはどちらかといえば、
受動的。
重力を受動的に利用している感じですね。
では、
歩いたり、走ったり、
打ったり、投げたり、突いたり、引いたり…
普通に生活していても、
思った以上に複雑な動き
をしていますし、
スポーツやダンスなどされていれば、
なおさら、難しい動きが出てきます。
受動的に重力を味方につける練習だけしていて、
うまくいくと思われますか？
無理！
例えば、歩く。
重力を味方につけて立てていたとして、
一歩目をどう踏み出しますか？
体全体を前傾させることで、重心移動を図り、
自然に脚が出るようにしますか？
では、そのとき、
前傾に対しての反射的な防御反応
（腰が引ける、背中や足指に力が入るなど）
全くゼロという自信はありますか？
体を支える側の脚は、
本当に重力を見方につけていますか？
動きが止まったりしていませんか？
あるいは、全身の骨格の位置関係に
変化は起きますか？
重力を見方につけているということは、
わずかでも動けば、
全てに変化が起きます。
それも、重力との関係の中で。
…こんなこと、頭で考え始めたら、
動けませんよね？（笑）
能動的に重力を利用する練習
（上下前後左右に重心を変化させる方法を学ぶ）
が必要なんです。
だからこそ、
のようなワークショップを
開催したりするのですが、
いずれにしましても、
静かに受動的な形で
重力を味方につける以外に、
日常の場やスポーツなどの場で
能動的に重力を利用できるための
練習が必要なんです。
この手の練習のポイントは、
出来ないことを練習するのではなく、
（受動的なほうは、
出来ないことを練習する形になりがち）
まず良い感じを味わうことです。
それも、自分で動いて。
・・・？
変なこと言っていますよね（笑）
出来ないから練習するのに、
自分で良い感じに動けだなんて。
もちろん、出来るんですよ。
ただ、この方法を持っている指導者が少ない。
私にしましても、
何から何までというわけではありませんけれど、
例えば、重力ではありませんが、声。
２時間のワークショップ（個人レッスンではなく）で
ほぼ誰もが、本人も周りもびっくりするような
大きなしっかりした響きの声を出せるようになります。
（実際には、１５分でも可能です。）
先述の重心移動もそうですが、
そういう方法を発見しているんですね。
もちろん、実際的な動きの中で、
重力を味方につけるという能動的なものも、
受動的な感覚は必要です。
ですけれど、良い感覚の動きを、さらに高めていくことが、
実のところ、受動的な感覚を養うことにもつながるんです。
やっと立てるようになった赤ちゃんを想像してみて下さい。
じっと立っているのは難しく、
ヨタヨタしてしまいますよね？
止まっているより、
動くほうが楽なんです。
動きの練習をしていく中で、
止まれるだけの能力を身につける。
そこで初めて
止まっているときの
重力との関係性の精度を上げていく。
その止まり（ただ立っている）の精度を、
動きに還元する。
そしてまた
止まっているときの
重力との関係性の精度を上げる。
この繰り返しが大事！
あくまで、動きの中での
能動的な重力との関係性を良くするために
受動的な取り組みがあるのですね。
本当の意味で
重力を味方につけていきませんか？
