和の身体と西洋の身体の違いって、面白い。
違いを知ることで、
より効果的に身体・動作と向き合えます。
表現にもかかわってきますしね。
今回は、
腕の付け根はどこか?
という問題です。
多くの方は、腕の付け根を肩だと考えると思います。
けれど、
解剖学的には、腕の付け根は胸鎖関節なんですよ、
となるんですよね。
(胸鎖関節は、喉元のあたりです。)
これは、肩甲骨が直接、体幹部分の骨とつながっておらず、
鎖骨を通じて胸骨につながっているからなんですね。
(胸骨は肋骨を通じて、背骨につながります。)
で、 これ、確かに間違いではない。
…ないのですけど、足りないのです。
和の身体と西洋の身体と、考えたとき、
これは、やはり西洋の身体の発想なんです。
格闘技で見てみると分かります。
パンチ・突きですけれど、
西洋のパンチ、ボクシングでは拳を顔(アゴ)の前で構えて打ちます。
一方、
和の突き、空手では腰(あるいは脇)に構えますね。
どうしてだと思われます?
西洋の身体では、いわゆる解剖学通りに、
胸鎖関節が腕の付け根になるので、
その辺りからパンチを出すことが、一番自然。
胸鎖関節から腕が伸びていく形ですね。
ところが、
和の身体では、
腕の付け根が胸鎖関節ではないんです。
どこだと思われますか?
実は…
肩甲骨の下角(一番下)なんです。
ですから、突きは、胸鎖関節からではなく、
肩甲骨の下角から伸びていく形にしたいのです。
そうしますと、自然に拳を構える位置が、
顔の前ではなく、腰(あるいは脇)というように、
下がるんですね。
相撲の鉄砲
ご存知ですか?
脇を締めて、手の平・掌底を下から突き上げるような形で突くものです。
これも、腕の付け根が肩甲骨の下角だからこそです。
そして、和の身体では腕の付け根が肩甲骨の下角であるがゆえに、
引くという動作のほうが、得意になるのです。
胸鎖関節が腕の付け根ですと、引きづらい。
相撲でも柔道でも、基本は引き込む力です。
相撲のまわしにしても、柔道着にしても、
引き込む力を活用するために着用するわけです。
また、
食事の際の
箸・茶碗とフォーク・ナイフのちがいも、
腕の付け根が肩甲骨の下角か、胸鎖関節かで、
説明がつきます。
肩甲骨の下角ですと、
下から包み込む形が自然なんですね。
下から包み込んで、引き寄せるようにして
箸・茶碗で食事をする。
一方、胸鎖関節ですと、
上から押さえ込むほうが、やりやすい。
上から押さえ込んで、押し出すようにして
フォーク・ナイフで食事をする。
(こうして、腕の付け根の違いが、
前腕の橈骨・尺骨の違いにつながってくるのです。)
いかがでしたでしょうか?
腕の付け根の、和と洋の違い。
これは、あくまで、そういう傾向が強いということで、
完全に違っているということではありません。
私は、和も洋も超えて使えればと思っています。
みなさんは、どう活用できそうですか?