オーガニック・アートマイムJIDAI の「身体」「表現」考

オーガニックな身体の使い方、表現についてのいろいろ。時々、甘いもの。

隔膜理論とは?

今回は、【隔膜理論】のお話。

 

「かくまくりろん」と読みます。

 

身体の使い方をよくする上で、非常に重要なものになります。

ただ、私が言い出したので、調べても何も出てこないですよ(笑)

 

私がこれまでずっと、

「透き間にエネルギーが通る」「張力が重要」

だと言ってきましたこのことを、別の角度から説明するものになります。

 

実は、『隔膜理論』去年2023年の10月終わり頃には、自分の中ではまとめ上げていたのですけど、何もこれを紹介せずとも、この理論に基づいてワークを紹介していけば良いと思っていたんですね。

何だか、わざわざもっともらしい理論を紹介しても、たいした意味はなく、それよりもそれを機能させられるようなワークを提供することのほうが重要ですから。

 

で実際にワークを提供していく中で、この理論の確信度合いは高まっていたんです。ただ、ここ最近、さらに強く機能させられるワークを編み出すことが出来まして、そうなった際、もしかしたらこれは、アナトミートレインの何かと重なっていそうだなぁと思ったんです。

 

そうしましたら、見事!「DFL(ディープ・フロント・ライン)」そのものだったんですね。

 

そういう意味では、『隔膜理論』は、このDFLを本当に機能させるためのものだということにもなります。

 

私はアナトミートレインに基づいて何かをするということは、全くありませんけれど、先日SNSでこの辺りのお話と言いますか、ワードを挙げたもんですから、今回紹介することにした次第です。

 

では。

 

 

まず、隔膜とは、身体を水平に隔てる筋肉・筋膜様の組織のことを言います。

横隔膜はその代表例ですね。

全部で8つあるとされていまして、下から順に、

 

足底筋膜 膝窩筋膜 骨盤底筋群(骨盤隔膜) 横隔膜 前頚筋膜(胸郭上口筋膜?) 後頭下筋膜 鞍隔膜 小脳テント

 

となっています。

 

私はこれに、手掌腱膜帽状腱膜(大泉門・小泉門をひとつなぎに見る)も加えた方が良いと考えています。

 

こんな言葉が並びますと、何だかうんざりしますよね(笑)

そう!難しく考える必要はないんです。一応、挙げただけだと思っていて下さって、大丈夫です。

 

『隔膜理論』とは、ごく簡単に言いますと、これらの隔膜、足元から頭頂部に至るまでの水平方向の膜を張っておくことが重要ですよ、ということなんです。

 

そして、隔膜を張れていますと、「軸」が軸として機能しますよ、ということなんです。

 

よく軸(中心軸)が大事だとは言われますけれど、それは棒のようなものではなく、隔膜が張れた結果生じるものなんです。

ですから、これまでも、私は軸が大事とは、ほぼ言ってきていないんです。誤解を招くからです。

 

言ってきたのは、「下腹を張れ!」「喉を開け!」であり、同時に「発声と同じ!」です。

 

(発声と同じというのも、DFLと重なりますね。)

 

 

では、なぜ、隔膜を張ると軸が生じるのか? 隔膜が張れていないと軸が機能しないのか?

 

これは、五重塔の構造を考えると見えてきます。

 

 

五重塔はその中心柱が地中から立っている(立ち上がっている)のではなく、最上部から吊るされているような形で、その重さは下に向かっているんです。つまり、浮いているんです。

まるで、背骨のようですよね。

 

五重塔の中心柱は、最上部では軒(のき)と繋がっている必要があるのですけど、下から最上部までの間では、直接、軒と接続されず、間に隙間がありまして、その隙間によって、横揺れに対する揺れを吸収できるようになっているんです。

中心柱と軒が逆方向に揺れることで、吸収できるわけです。

 

この軒に当たるのが、隔膜です。

 

五重塔の中心柱は、軒先の重さによる梃子(てこ)の原理で持ち上げられているんですけど、梃子(てこ)・天秤構造となるためには、水平方向の軒などにあたる部分が、反対側・裏側とひと続きの構造体になっている必要があります。

 

何だか、分からなくなってきますよね。。。

 

ワインのコルクを抜く道具で、ウイング型のものをイメージしていただくと分かりやすいかと思います。

くるくるとねじ込んでいきますと、バンザイ!の形になりますでしょ?そのバンザイした両腕を下ろしますと、中心のねじ込んだドリルが上がってコルクが抜ける。

両サイドを下げて真ん中を持ち上げる。

これが、五重塔の中心柱と軒の関係です。

(中心柱は地面に触れず浮いていますけど、側柱が地面に着いていまして、その側柱が軒を支えているんです。)

 

さて、水平方向の軒などにあたる部分が、反対側・裏側とひと続きの構造体になっている必要があるわけですけれど、これが、隔膜が張っていなければならない理由になります。

 

と、五重塔に喩えてきましたけれど、私たちは、ずっと垂直に立って止まっているわけではないですよね。

ですから、動的な五重塔だと思って下さい。

あくまで『隔膜理論』をイメージする際の助けにしてもらえればと思います。

 

これ以上の説明は、文章では私にとっても、読んで下さっている皆さんにとっても難しくなってしまいますので、最後に少しだけ付け加えておしまいにしたいと思います。

 

隔膜は、おそらく神経的に繋がっていまして(それがアナトミートレインということでもありますね)、ですから、どこかの隔膜が張っていれば、全部の隔膜がいくらか張ってきます。これは普段のレッスンの中で検証済み。

とはいえ、機能としましては弱い部分に引きずられるので、例えば、頭部の隔膜が固まっていますと、他の隔膜もそこまで張ることが出来ず、本人の頑張り感ほどには機能しません。

ですから、全ての隔膜の固まりをほどいて、上手に張れるようにする訓練が必要になります。

 

ですから、この「上手に張れるようにする」方法が重要であることは、言うまでもありませんね。

 

『隔膜理論』お役に立てれば嬉しいです。

(興味のある方は、8月12日ぜひ。)

 

 

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