お腹に力を入れる。
腹筋をつける。
大事な事として、よく耳にしますね。
私自身もクラスでも、筋トレという概念では無いものの、お腹に結構キツいことをしているんです。
ただ、このことでは、失言してしまったことがあります。
世間話の最中に、私が「自分は筋トレ否定派だ」と言ってしまいまして、、、
その女性は非常に大人な対応で、
「筋肉をつけることが有効なクライアントさんもいらっしゃることもあるので」と、
私の発言を否定するわけではなく、
けれど、ご自身のしっかり持たれている信念を穏やかに口にされたんですね。
あぁ、私のなんて情けないこと。。。恥じ入るばかり。
私の筋トレ否定は、筋肉をつけることを否定しているのではなく、
筋肉をつけることを目的とすることに疑問を呈しているということでして、
腹筋ももちろん、大事だと思っているんです。
少し話を遠回りさせてもらいますが、
以前に
「腰はふんわりと」
といったことをツイートしたことがあります。
多くの方は、私もそうだったのですけど、腰に力を入れてしまいやすいんですね。
腰に力を入れる（腰の筋肉を収縮させる）といいますのは、腰を反ることになります。
力（パワー）を発揮しようとした時に、つい腰に力が入ってしまうのですけど、
そうしますと、腰が反ってしまいますから、力は逃げてしまうんですね。
基本的に力を発揮しようとする際に大事なことは、
背骨が真っすぐで一つ一つの脊椎が満遍なく負荷を負ってくれるようにすることなんです。
曲がってしまいますと、局所的な負担が生じてしまいますから、
本来、骨という硬いもので受け止めるべき負荷を、
柔らかい筋肉を固める事で対処せざるを得なくなりますでしょ？筋肉は大変です。
さらに、椎間板という脊椎同士のクッション材にも偏りの強い負荷がかかります。
これを回避したいわけです。
腰のところの背骨、腰椎は元々少し反った形なんですけど、
力を発揮しようという時に、出来るだけそれ以上反らないようにしたいということなんですね。
ということは、腰を反らせるための筋肉に可能な限り休んでもらいたい。
私流には「腰はふんわりと」という感じですね。
そのために腹筋類（腹横筋や内外腹斜筋、腹直筋）はひとつ大きな役割を果たしてくれるんです。
それで、腹筋をつけましょうとなるのですけれど、
ここが盲点といいますか、重大な問題が起きてしまうんです。
それは、目的は腰を真っすぐにすることなわけですから、
腰椎周りの筋肉だけでそれを達成する必要はないということなんです。
といいますか、それ以前に、筋肉で骨の位置を調整するというのは、非常に難しいんです。
例えば、腕の力こぶ。ギュッと筋肉を縮めて作りますでしょ？
この時、腕の骨の位置はある一定のところから動かさないですよね？
骨を動かすには筋肉の働きが必要ではあるものの、
筋肉に力を入れれば骨が動くわけではない。
そういうことなんです。
腰を真っすぐにするのに、どの筋肉にどれくらい力を入れたらいいのか？
それは、分からないんです。
直立していたとして、足裏のどこに重心があるか？のちょっとした違いでも、
体全体で働く筋肉の状態は、全く変わってくるんですね。
ですから、どこそこの筋肉をつけようかと考えるのではなく、
どのような骨の位置にしたらいいのか？
に意識を向けるほうが、
むしろ簡単
なんです。
つまり、腹筋類を鍛えたとしても、
骨の位置とは無関係に力を入れることが出来てしまうわけですし、
せっかく鍛えた腹筋類が宝の持ち腐れになりかねないということなんです。
骨の位置を良いところにするには、当然筋肉が必要ですから、足りなければつける必要は生じます。
けれど、それは
筋トレという概念ではないんですね。
むしろ、力が入り過ぎるところを休ませようとすることで、
結果として本来必要な筋肉に働いてもらうようにするわけです。
こういった考えの下で、負荷の掛かることをしますと、
自然とお腹に力は入らざるを得なくなり、腹筋類も鍛えられることになります。
（同時に、腹筋類以外の知識では追いつかない場所の筋肉も鍛えられることになるのですが、
そのことがとっても重要だと思っています。）
ということで、最初にお話しましたように、私もお腹の力は大事だと思っているんです。
ただし、
腹筋が強いことと、お腹の力が使えるということとは、
別ということなんです。
１人でも多くの方が、お腹の力を使えるようになって、
快適な体、美しい体、強い体、表現力のある体になってもらえたらと思います。
Body,Mind&Spirit 本当の自分の身体は天才だ！
